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リモート監査は今後根付くか?各監査法人の取り組みを見る

今般のコロナ禍は監査法人をも襲い、在宅勤務およびリモート監査を余儀なくさせられました。コロナが襲った3月から5月にかけては、3月決算法人の監査の最盛期。決算発表への影響なども見られ、課題も浮き彫りになる形となりました。監査体制はどの程度までリモートできるのか、発表資料から各監査法人の取り組みを見ていきましょう。

各監査法人が相次いで在宅勤務を発表

トーマツは、流行し始めの2月27日には新型コロナウイルス対策として、全メンバーの在宅勤務の実施を発表。その内容を以下のようなものとしています。

  • 「1.社職員の勤務形態について
  •  (1)2020年2月28日から3月13日(※その後延長)まで原則、高セキュリティのPCを用いて在宅勤務を実施
  •  (2)業務の特性から出社が不可欠な場合、時短勤務や交代制などを利用
  •  (3)顧客先訪問や当グループオフィス来社が不可欠な場合、本方針を説明し協議
  •  2.会議・セミナーについて
  •  (1)通信を活用した遠隔での会議の実施促進
  •  (2)2020年3月31日(※その後延長)までに予定されている外部向けセミナーの開催を原則延期・中止
  •  3.会食・出張
  •  (1)不要不急の会食は中止もしくは延期
  •  (2)国内外問わず、不要不急の出張は自粛
  •  4.その他
  •  (1)外出時のマスク着用、手洗いを強く要請
  •  (2)感染の疑いがある、身近に感染者または濃厚接触者と認定された人がいる場合は、その旨を会社に報告の上健康観察の実施」

EY新日本では、

「新型コロナウイルス対策の政府の対策基本方針に従い、感染拡大のリスクを可能な限り低減させる趣旨から、明日2月28日から3月13日までの間(※その後延長)、EY Japan各社の全オフィス、EY Japan全メンバー(約8千名)を対象に原則として在宅勤務を実施します。業務特性上、クライアント先に出向いて実施する業務は、電話会議等の代替手段の可能性を検討します。また、厳格な情報管理が必要な業務などは引き続きオフィスで実施します。」

としました。

あずさも、

「現在は感染拡大防止の重要な局面にあるとの認識のもと、新型コロナウイルスの感染拡大防止策を強化するため、KPMGジャパンに属する全パートナー・職員を対象に」「原則として在宅勤務を実施します。」

と発表。

PwCあらたもまた、

  • 「1)在宅勤務の実施
  •  ・在宅勤務を強く推奨するものとし、業務の性質上、出社が必要な場合は、公共交通機関が混雑する時間帯を避けるようにします。
  •  ・なおクライアント先等で業務を実施する必要がある場合には、事前にクライアント先等と勤務形態を協議の上、合意させて頂くこととします。
  •  2)出張
  •  ・国内外問わず、当面の間は特段の理由がない限り控えます。
  •  3)イベントの中止、延期またはWebでの開催
  •  ・当グループ主催および共催により開催予定のセミナーについては当面の間、原則、中止、延期またはWebでの開催とさせていただきます。Webサイトにて随時情報を更新します。」

と発表しました。

大手監査法人での在宅勤務の流れは数年前から始まっていた

大手監査法人では、人材確保の流れの一環として、数年前から在宅勤務を打ち出しています。

トーマツでは、2016年10月から「マネジャーなど管理職を中心に週1日程度の在宅勤務制度を始め」(日経新聞電子版2016/11/5)、あずさでは、「全職員約5600人を対象に週2回程度の在宅勤務を認め始めた。まず20~30代の女性などを中心に試験導入したところ、仕事がしやすいと評判が良かった」(同)、「新日本監査法人やPwCあらた監査法人などは既に導入済み」(同)と、各監査法人でコロナ前から取り組みはスタート。

監査法人では近年の人手不足への対策として、AI導入や働き方改革が日本における一般企業よりは進んでいたため、今回のコロナ禍への対応もいち早く着手できたという現実が見えてきます。

今回の在宅勤務の流れで課題も浮き彫りに 問題解消進むか

しかし、セキュリティの問題や実査への対応、書類の現物のチェックなど課題もあり、今回の在宅勤務は、3月期決算の決算発表や株主総会の日程のずれ込みという結果を生んでいます。日本公認会計士協会の手塚正彦会長は、4月21日の都内で開かれた記者会見で、在宅勤務の広がりにより「感覚として監査業務の効率が2割程度落ちている」と発言しました(日経新聞電子版2020/4/21)。

極端な決算期の偏り、現物の書類頼みの監査など、今後の課題として浮き彫りにされた形ですが、こういった事情が柔軟な働き方を拒み、今後リスクとなりえることがはっきりとしてきました。アフターコロナの時代、社会全体が段々と日常を取り戻していますが、今回のコロナ禍で対応すべき課題が浮き彫りにされたのはむしろ好機といえそうです。一斉在宅勤務はイレギュラーな事態であり、今後全てがリモート監査になるわけではないと思われますが、課題が洗い出されたことで在宅勤務/リモート監査が段々とブラッシュアップされていくのは間違いないでしょう。


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著者: ハイタアジサイ

税務ライター

早稲田大学第一文学部卒。税務専門紙記者や会計事務所での広報などに就業しつつ、仕事の傍ら千葉商科大学会計大学院進学。公認会計士短答式試験に合格するも、パートナーの海外赴任により論文試験は一年で放棄、渡独。ドイツ生活を5年間堪能後帰国。2児の母。

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