大手監査法人での在宅勤務の流れは数年前から始まっていた
大手監査法人では、人材確保の流れの一環として、数年前から在宅勤務を打ち出しています。
トーマツでは、2016年10月から「マネジャーなど管理職を中心に週1日程度の在宅勤務制度を始め」(日経新聞電子版2016/11/5)、あずさでは、「全職員約5600人を対象に週2回程度の在宅勤務を認め始めた。まず20~30代の女性などを中心に試験導入したところ、仕事がしやすいと評判が良かった」(同)、「新日本監査法人やPwCあらた監査法人などは既に導入済み」(同)と、各監査法人でコロナ前から取り組みはスタート。
監査法人では近年の人手不足への対策として、AI導入や働き方改革が日本における一般企業よりは進んでいたため、今回のコロナ禍への対応もいち早く着手できたという現実が見えてきます。
今回の在宅勤務の流れで課題も浮き彫りに 問題解消進むか
しかし、セキュリティの問題や実査への対応、書類の現物のチェックなど課題もあり、今回の在宅勤務は、3月期決算の決算発表や株主総会の日程のずれ込みという結果を生んでいます。日本公認会計士協会の手塚正彦会長は、4月21日の都内で開かれた記者会見で、在宅勤務の広がりにより「感覚として監査業務の効率が2割程度落ちている」と発言しました(日経新聞電子版2020/4/21)。
極端な決算期の偏り、現物の書類頼みの監査など、今後の課題として浮き彫りにされた形ですが、こういった事情が柔軟な働き方を拒み、今後リスクとなりえることがはっきりとしてきました。アフターコロナの時代、社会全体が段々と日常を取り戻していますが、今回のコロナ禍で対応すべき課題が浮き彫りにされたのはむしろ好機といえそうです。一斉在宅勤務はイレギュラーな事態であり、今後全てがリモート監査になるわけではないと思われますが、課題が洗い出されたことで在宅勤務/リモート監査が段々とブラッシュアップされていくのは間違いないでしょう。
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