公認会計士試験短答式が延期に! 延期されていた修了考査合格発表なされるも合格率は異例の低さに
4月17日、公認会計士・監査審査会は、令和2年公認会計士試験第Ⅱ回短答式試験の実施延期を発表しました。いつに延期されるかは現時点では未定とされています。
また、修了考査の合格者が、延長の末同日17日に日本公認会計士協会から発表されました。極端な合格率低下が見られ、公認会計士の試験制度に激震が走っています。

短答式試験の延期決定、実施日は5月中旬に発表
5月24日に実施予定だった、「令和2年公認会計士試験第II回短答式試験」の実施延期が発表されました。短答式試験の延期は、2006年に導入されて以来、初めての出来事です。東日本大震災が発生した2011年にも、予定通り実施されています。計画停電実施予定があった2012年に試験時間変更の可能性が示唆されたものの、結果として定刻通りの実施となりました。
今回、延期はなされたものの実施がいつになるかは現時点では不明です。公認会計士・監査審査会のWEBページでは、「延期後の実施方針等については、おって、5月中旬目途に、当該時点の新型コロナウイルス感染症を取り巻く状況を踏まえ、公表する予定」となっています。
試験日公表直後に試験を実施することは困難だろうことを考慮に入れると、いかに早くとも6月以降に延期となるのが妥当な判断だといえそうです。
短答式試験の延期ということは6月19日に予定されている第Ⅱ回短答式試験の合格発表も延期となる可能性が高く、論文式試験が実施される8月21日~23日のころには新型コロナウイルスがたとえ収束していたとしても、予定通り実施されるかどうかは未知数だといえるでしょう。本来なら11月13日の合格発表直後から行われる就職戦線から内定の流れも、ずれこむ可能性は高くなりそうです。
延期されていた修了考査合格発表!驚愕の低合格率に
また、公認会計士試験に合格後、実務補習を受けた試験合格者が受ける修了考査も合格発表が延期されていましたが、4月17日に無事発表となりました。これにて晴れて公認会計士登録できる新たな会計人は、854人となりました。
しかし気になるのは、合格率の低さ。対受験者数で48.8%という異例の低さとなりました。合格できたのは二人に一人もいないという、試験制度の根幹を揺るがす結果です。
ここ10年間の合格率を見ると、例年7割前後の合格率で安定していました(図)。
図:公認会計士修了考査 受験者数・合格者数・合格率
しかし、2018年度実施試験の合格率が前年度比13.2ポイントダウンの56.1%という低さを記録した中、さらにそこから7.3ポイントも下がる結果となりました。
2019年度試験は前年度の合格者数の少なさから受験者数が多かったのも合格率低下の一因であり、合格者数自体は前年度比で16人増えています。
しかし、2018年度の例年にない合格率の低さが異例と思われた中での、更なる低下。合格発表が遅くなったことは合格者数調整のためだったなどの憶測を呼ぶところです。
難関の公認会計士試験に受かり、実務経験を積み実務補習を受けた中で修了考査に臨んだ受験生が、去年今年だけ極端に「出来が悪かった」というのも不可解な話です。
合格率低下の理由については、税理士との職域問題から公認会計士の税務能力を担保するため、税務問題を難しくした結果では?なども言われていますが、公式からの発表はありません。
監査法人では公認会計士登録されないと昇進・昇給が難しいこと、また公認会計士登録できなければ転職活動に支障が出、独立が果たせないことを考えると、キャリアに大きな影響が出る人も少なくなさそうです。
【参考ページ】
公認会計士・監査審査会:「新型コロナウイルス感染拡大に伴う令和2年公認会計士試験第II回短答式試験の実施に係るお知らせ」
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/20200417.html
日本公認会計士協会:「令和元年度(2019年度)修了考査の合格発表について」
https://jicpa.or.jp/syuryokousa/0_37_0_2_20200417-0.pdf
(関連記事)
最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。
◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします
【メルマガを購読する】

著者: ハイタアジサイ
税務ライター
早稲田大学第一文学部卒。税務専門紙記者や会計事務所での広報などに就業しつつ、仕事の傍ら千葉商科大学会計大学院進学。公認会計士短答式試験に合格するも、パートナーの海外赴任により論文試験は一年で放棄、渡独。ドイツ生活を5年間堪能後帰国。2児の母。