IPO市場は3月から4月にかけて上場中止が相次ぎ、完全に停滞状況にありました。しかし緊急事態宣言解除後の5月から、徐々に新規上場が解禁に。上場中止していた会社の再承認も重なり、投資家の期待は6月以降のIPOラッシュに向け高まってきています。

今年の3~4月には上場中止が相次ぐ

全国的に緊急事態宣言が解除され、さらには6月11日に東京アラートも解除、19日には休業要請全面解除の運びとなり、段階的な経済の再始動が始まっています。そのような中、実はIPO(新規上場)のラッシュが始まっているのではという観測があります。

日本取引所グループの発表によれば、今年に入ってからの東証のIPO数の推移は以下のようになっています。

2月中に上場が承認されていた企業は予定通り3月には上場したものの、3月に上場が承認され4月に上場を予定した企業は、9割が中止を発表。3月から4月にかけて、実に18社が上場を中止(延期)していました。

TOKYO PRO Market(プロ投資家向け市場)を除くと4月中に承認を受けたのは「(株)エコミック」1社のみでほとんど動きがなく、「(株)エコミック」の次の承認は5月25日に承認を受け6月24日に上場予定の「(株)コパ・コーポレーション」となります。

上場中止した18社の一覧は以下の通りです。

中止(延期)した理由について、たとえばさくらさくプラスは

「2020年3月18日、2020年4月8日及び2020年4月9日開催の当社取締役会において、当社普通株式の東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う新株式発行及び株式売出し等について決議いたしましたが、改正特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の発令が当社グループの業績に与える影響は、現時点で軽微であると判断しているものの、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大等を受けた最近の株式市場の動向等諸般の事情を総合的に勘案し、2020年4月16日開催の当社取締役会にて、当該新株式発行及び株式売出しの中止と、それに伴う上場手続きの延期を決議いたしましたので、お知らせいたします。」

と同社ホームページ上で発表しています。

上場中止の次に再承認の大波が来る?

5月に入ってからは上場承認が再開され、6月15日現在までに上場承認を受けた企業は12社あり、その一覧は以下の通りです。

なお、例年6月の新規上場企業数を見ると、以下の通りとなっています。

数字だけ見ると、今年の上半期新規上場数はこのコロナ禍にもかかわらず例年並みとなっています。さらには、18社が承認中止した一方、6社しかまだ再承認となってはおらず、今年下半期のIPO市場は活性化することが予想されます。

再承認で想定価格は軒並み減

その一方で、再承認にあたって想定価格はどのように変化したのでしょうか。その一覧表が以下の通りです。

再承認にあたって、コマースOneホールディングスを除けば想定価格は大幅減となっていることがわかります。表3を見ると、公募価格が出ている2社は仮条件の上限の公募価格となってはいますが、新型コロナ流行前後を見比べるとコロナ禍の影響は大きく、資金調達規模が縮小している様子が見て取れます。

以上を総括すると、市場は活気を帯び始めていますが実体経済がそれに伴っている裏付けはなく、アフターコロナにIPO大隆盛が起こるかどうかは、まだ未知数だといえそうです。


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