遺言書のポイント③:厳格な要件が定められている
遺言書は、遺言者の死後に効力を生じるため、遺言者の真意が明確になっていなければなりません。そこで、民法は遺言の方式を定めており、有効な遺言書を作成するためには厳格な要件に従わなければなりません。
遺言書にどのような方式があるかは別途解説しますが、遺言書を作成する場合は専門家に相談されることを強くお勧めします。
遺言書は、
(i)遺言書の要件を欠くため無効である
(ii)作成時に認知症であったため遺言書作成能力がない
(iii)遺言書の内容が不明確であるため無効である
等と主張されるケースが散見されます。
中途半端な知識で遺言書を作成すると、死後、遺言書の有効性を巡ってかえって紛争が生じるおそれがあることはご留意下さい。
遺言書のポイント④:遺留分は侵害できない
遺言書を作成することで、原則として相続財産を自由に処分することができます。しかし、遺言書の限界として、相続財産の一定部分は自由に処分することができないとされています。これが遺留分の制度です(民法1028)。厳密には、遺留分を害する遺言書が無効になるわけではなく、遺留分を侵害された相続人が遺留分減殺請求を行えば一定の相続財産を取得できる制度になります。遺留分は、原則として法定相続分の1/2(直系尊属のみが相続人の場合は1/3)となります。

遺言書を作成するとき遺留分を侵害することはできないとアドバイスを受けることもあります。相続財産の大部分が自社株式といったケースや本家となる自宅があるような場合、遺留分があるために、跡取りに相続財産を集中させられない等の問題が出てきます。しかし、実は遺留分減殺請求がなされないように生前に対策を行うこともできます。
さて、今回は遺言書活用について解説いたしました。遺言書は、人生の集大成である相続財産をどのように配分するかを決めるものであり、人生最後の大仕事です。残された相続人が幸せになれるよう遺言書を上手く活用してください。アイシア法律事務所では、日本で数少ない遺留分の生前対策を行う法律事務所ですので、遺留分の生前対策についても次回以降で別途解説いたします。
失敗を避ける遺言書作成ポイント!!
1、争族を防止
2、相続人に対して想いを伝える
3、遺言書が無効とならないように注意する
4、遺留分は侵害できない