年収アップのために転職活動を考える方は少なくないと思います。高年収帯の魅力的な求人を見つけ、片っ端から応募していくという方法もありますが、闇雲に転職活動を進めてもなかなかうまくはいきません。高年収かつ希望のポジションを目指すなら、市場を理解した上で戦略的に、長期的な視点で求人選びをすることが重要です。年収にこだわる税理士の方必見の、転職活動のポイントをご紹介します。

平均年収の現実

BIG4と呼ばれる税理士法人や大手事務所と個人事務所とでは、年収に大きな開きがあります。(図1参照)
大規模事務所では大手クライアントを抱えることが多く、当然一人当たりの売上の大きさが給与にも影響してます。また、事業領域の広さや大手ゆえの専門性の高さ、ブランド力などから安定した売り上げがあり、社員への還元率が大きいのも頷けます。
また大手事務所では、評価制度や昇給制度も整備されており、キャリアパスもある程度明確になっていることが大きく給与面にも影響します。ポジションごとの年収レンジも決まっているケースが多く、スタッフからシニア、マネージャーとポジションが上がるにつれ、着実な年収アップも期待できます。
「高年収を狙うならBIG4、大手事務所」と考える人は多いと思いますが、実は最近では資産税特化の事務所や一般企業の経理ポジションでも、高年収帯の求人が増えています。
そのほか、個人事務所の中でもクライアント業種を特化し、顧問報酬の高い先を選定する戦略をとる事務所や、コンサルティング業務のスポット収入が比較的多い個人事務所では、高めに年収が設定されているケースを見かけます。小規模事務所は、取り扱う業務内容やクライアント先の業種業態に注目することが重要です。

科目合格者の場合、法人規模による年収の開きは有資格者ほどありませんが(図2参照)、将来どういった業務に携わりたいかという想定のもと求人を選ぶのは非常に重要です。また顧客対応の実務経験がしっかりと積める求人先を選ぶと良いでしょう。
特に「個人事務所で経験を積んでから、BIG4に転職したい」というケースの場合、個人事務所で担当していたクライアント規模が選考の判断基準になることも多いので注意が必要です。大規模クライアントの対応経験がない場合、書類応募すら難しいというケースも少なくありませんので、長い目で見て慎重な求人選びをすることが重要です。