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その手があったか 酒井威津善の【儲けのヒント】〜第9回 バリュー・チェーン②〜

東京アラートも解除され、一度は落ち着きを見せた新型コロナウィルス感染症ですが、依然断続的に感染者も出ており、予断を許さない状況が続いています。
そうした中、新しい事業を考える(もしくは既存事業を見直す)上で、ポイントとなるのが「これまでにない切り口」をどうやって見つけるか、です。
第9回目は、「バリュー・チェーン」その2です。

Withコロナ時代に沿ったアレンジ

「バリュー・チェーン」は、マイケル・ポーターが著書「競争優位の戦略」の中で用いた言葉で、日本語では「価値連鎖」。原材料を調達してから商品やサービスが顧客に届くまでに企業が行う活動の連鎖を、モノの連鎖(サプライチェーン)だけではなく、価値の連鎖(バリュー・チェーン)として捉えたものでした。

このチェーンのどこかをアレンジすることで、新しい事業形態を創れないだろうかと実例を交えてご紹介したのが前回。今回も前回に続き、見事なバリュー・チェーンのアレンジの事例を3例ご紹介します。

なお、冒頭でも述べたとおり、今はWithコロナ時代。

いかにして「人との接触を避ける、減らせる」かがビジネス転換のキーになっています。バリュー・チェーンのアレンジにおいても当然、この観点が不可欠です。

実例

1例目は、ネスカフェが展開する「ネスカフェアンバサダー」。

https://shop.nestle.jp/front/contents/ambassador/amb/ec/

会員になると、無料でネスカフェの本格的なコーヒーマシンが無料で借りられ、自宅や職場で美味しいコーヒーが飲めるというサービスです。

必要な費用は、コーヒー代のみ。それも1日あたり20円。メンテナンスも無料です。外で大手チェーンの店舗を利用すれば、どれだけ安くても200円以上はしますから、とてもコスパに優れたサービスです。

 

2例目は、「ドライブスルー八百屋」。

http://www.foodsupply.co.jp/drivethrough/

ビジネスそのものは至ってシンプルです。

車で開催場所に赴けば、車を降りずに、契約農家から仕入れられた新鮮な野菜や果物を積み込んでもらえるというもの。とてもわかりやすい流れですが、利用者にとっては、ほとんど人との接触なく、買い物を済ませられ、また農家の方にとっては、新たな販路の獲得につながるという双方有り難い流れです。

こうした生産者と消費者を直接つなぐ方法は、もちろんすでにあります。

例えば、「旬八青果店」。

http://shunpachi.jp/

東京都内に店舗を構え、地方の農家から仕入れた直接旬の新鮮な野菜や果物を販売。2020年現在、11店舗を数える成功モデルです。

「ドライブスルー八百屋」は、この消費者との距離をさらに縮めたものと言え、結果、いわゆる「ラストワンマイル」を農業のカテゴリーで実現しています。

 

※ラストワンマイルは、本来、通信業界の用語で、事業者と利用者を結ぶ最後の区間という意味ですが、ビジネス全般においては、利用者(=顧客)と直接つながる部分を取ることが重要という意味合いで用いられています。

例えば、コンビニエンス・ストア。そのコンパクトな店舗サイズによって、住居エリアやビジネス街などに複数の拠点を構え、消費者とのラストワンマイルを強固に構築しています。

 

最後は、「mosh」。

https://mosh.jp/

こちらは、上記2つとはやや視点が異なります。

メニューの作成から予約管理、顧客管理や事前決済など、ヨガやコーチングなど、個人向けに行ういわゆるCtoCビジネスに必要な機能がすべてスマホだけ完了するインフラサービスです。

似たサービスには、ココナラ(https://coconala.com/)やランサーズ(https://www.lancers.jp/)といった仕事のマッチングに特化したものや、無料でネットショップが開設できるBASE(https://thebase.in/)などがありますが、このサービスの最大の特徴は、「オンラインでの提供」が前提になっていること。後発ですが、まさに今、対面が難しい中で登場した画期的なビジネスです。

アレンジのパターンは2つに集約される

前回、今回を通じて5つの事例をご紹介しました。

 

1)コンビニエンス・ストアの店舗で服を販売

→ 他社のバリュー・チェーンを使う

2)引越サービスに「買取」「処分」機能を追加

→ 既存のバリュー・チェーンに新たな機能を追加

3)消費者に無償でコーヒーマシンを提供

4)ドライブスルー形式で野菜を販売

→ 消費者と直接リンクするチェーンを構築

5)オンラインで販売するために必要な機能を一括で提供

→ 「バリュー・チェーン」そのものを提供

 

改めて見て頂ければ、これらは大きく2つのパターンからなることが分かります。

 

  1. 自社のバリュー・チェーンに追加する、もしくは新しく創る
  2. 他社のバリュー・チェーンを利用する

 

とてもシンプルです。

あとは、その対象をバリュー・チェーン全体で考えるか、一部で考えるかだけ。

とはいえ、ここまでシンプルだともうアレンジの余地が残っていないのではとの心配もよぎります。

 

もし、見当たらない、もしくはすでに先を越されていたときは、ぜひ、以前ご紹介した(第4回〜第7回記事)「マネタイズ」と「価値観」といった別の要素も組み合わせてアレンジを試してみてください。さらなる可能性が広がるはずです。


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著者: 酒井威津善

フィナンシャル・ノート代表

東洋情報システム(現TIS株式会社)にて10年間に渡り、法人向けシステムの企画・設計に従事したのち、不動産証券化業、住宅建設業、人材紹介業、システム開発業、遊技機製造業などで計12年間CFO(財務責任者)を歴任。2016年独立。新しいビジネスモデルの創出支援、設計及びサポートなどを行なう。著書に「儲けのしくみ 50万円からできるビジネスモデル50」「儲けのしくみを誰でもつくれるすごいノート」(自由国民社)、「起業のための儲けの教科書」(ソシム)がある。

■新しいビジネスモデルの発見とヒント
http://financial-note.com/ 
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