遺言書を書くためのポイント④:相続財産の分配について明確化する

遺言書を書いたとしても内容が不明確な場合にはかえって争いが生じることがあります。そのため遺言書を書く場合は、形式的な要件を充たすだけではなく、内容についても明確化する必要があります。

まず相続財産について、どのような相続財産があるのかを遺言書において特定することがポイントとなります。例えば、「●●銀行の預金口座」とだけ記載するのではなく、「●●銀行●●支店普通預金 口座番号●● 口座名義人●●」と特定した方が良いでしょう。不動産についても、「自宅」とだけ記載するのではなく、登記簿に記載されたとおり所在、番地、建物番号、床面積等について記載した方が良いでしょう。

こ遺言書において相続財産を特定した上で、当該相続財産をどの相続人に取得させるのかも特定するべきです。一般的には、遺言者との関係(妻、長男等)、氏名、生年月日を記載することで特定されます。

相続財産の全体が分からない場合は、明確になっている相続財産については遺言書において特定の相続人に取得させるとした上で、その他の相続財産については相続分を遺言書において指定だけしておくことも可能です。

遺言書を書くためのポイント⑤:遺言執行者を定める

遺言書を書くために専門家と相談した場合等、遺言内容について予め詳しく知っている人がいるような場合はその人を遺言執行者にすることをお勧めします。遺言執行者とは、遺言の目的に沿って遺言書の内容を実現する人をいいます。

遺言執行者を定めておくことでスムーズに遺言書に従った相続財産の分配を行うことができますし、遺言内容について知っている人が遺言執行者になれば、どのような想いから遺言を書いたのかを伝えて貰えることもできます。

遺言書を書くためのポイント⑥:保管方法に注意

公証役場において遺言書を保管する公正証書遺言と異なり、自筆証書遺言では遺言書を自分で保管しなければなりません。しかし、遺言書の保管は意外と悩ましい問題です。

遺言書の内容が周囲に知られてしまうと不利な内容を記載された相続人が遺言書を隠したり、捨てたりするリスクがあります。他方で、自分にしか分からないように保管しておくと、せっかく書いた遺言書が見つからずに遺言書を書いた意味がなくなるかもしれません。

一般的には遺言書を書いたことを家族や知人に話してしまうと、いつの間にか周囲に遺言書を書いたことが漏れてしまうおそれがあります。そこで、弁護士、税理士等の専門家や遺言執行者にだけ遺言書を書いたこと、及び保管場所を話しておく、又は弁護士、税理士等の専門家に遺言書を預けておくことがお勧めです。

遺言書を実際に書くためのポイント!!
1、遺言書の3つの方式(自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言を理解する)
2、遺言書の全文を手書きする
3、遺言書の末尾に作成年月日を忘れない
4、署名・押印する
5、遺言書の内容を明確化する
6、遺言執行者を定める
7、遺言の保管方法にまで気を付ける

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