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新米経理必見!3分でわかる業務手順 第23回「ポイント付与の会計処理」

商品販売時に、ポイントを付与し、次回以降の商品販売時に代金の一部として、ポイントを充当することがあります。サロンや、家電量販店でよく用いられている仕組みです。本記事では、ポイントを付与する側の会計処理について紹介します。

ポイント付与から決算までの一連の流れ

ポイントの付与会社から見ると、以下のような流れで、ポイントに関する処理が進んでいきます。

  1. ポイントを付与
  2. ポイントを使用
  3. 期末決算

それぞれの詳細と会計処理について、具体例を用いながら詳しく見ていきましょう。

ポイント付与時

具体例:

商品5万円を現金で売り上げて、1%相当の500ポイントを顧客に付与した。

会計処理:

(現金)50,000 (売上高)50,000

※ポイントに関する会計処理はなし

ポイントは、顧客が使用した時点で販売額を減額することから、当該使用時点でポイント付与側の会社で費用が発生します(または売上値引きという処理も考えられます)。よって、ポイント付与時にはポイントに関する会計処理は原則的に行いません。

ポイント使用時

具体例:

商品3万円を売り上げた。顧客は前回付与されたポイント、500ポイントを使用し、残額の2万9500円を現金で支払った。また、売上総額の1%相当の300ポイントを顧客に付与した。

会計処理例①:

(現金)29,500   (売上)30,000

(売上値引)500

 

会計処理例②:

(現金)29,500   (売上)30,000

(販売促進費)500

 

ポイントを使用した場合、対価受領額が減少するため、ポイント使用分を売上の減額(値引き)または、費用として認識します。ポイントの性格をどのように捉えるかどうかで、会計処理を選択します。

①ポイントの使用は、売上の値引きと似た性格と見て、ポイント使用分を売上値引きとして処理する:会計処理例①

②ポイントの付与は、売上値引きではなく、将来の販促施策として行っているもので、販売促進費として処理する:会計処理②

期末決算時

具体例:

期末決算のタイミングで、顧客に付与し、消化していないポイントの総額は9000ポイントであった。過去の実績から、将来、顧客に使用されるポイントは、9000ポイントのうち、4500ポイントと合理的に見積もることができたため、同額引当金を計上した。

会計処理例:

(ポイント引当金繰入)4,500 (ポイント引当金)4,500

顧客に付与し、期末決算時に残っているポイント残高のうち、引当金の計上要件を満たす分については、引当金として計上を行います。引当金の計上要件は企業会計原則に定められており、下記の4要件を満たす場合、計上が認められます。

 

引当金の4要件:

① 将来の特定の費用又は損失であること

② その費用又は損失が当期以前の事象に起因して発生するものであること

③ 発生の可能性が高いこと

④ その金額を合理的に見積ることができること

ポイント付与側の立場で、引当金の4要件を実例に合わせて検討しましょう。

 

①:翌期以降に顧客がポイントを使用することが想定されるので○

②:ポイント付与は、当期に使用したことに伴って付与しているため○

③:販促の一貫で付与しており、次回来店時にポイントを使用する可能性が高いため○

④:この要件が論点になります。過去のポイント使用実績など、合理的な金額を見積もれるのであれば○

①〜③は取引の形態上、当然に要件を満たしますね。よって、④の要件が満たせるかどうかがポイントとなります。なお、過去のポイント使用実績に加え、ポイントの有効期限を考慮する必要もあります。有効期限を迎えたら、ポイントは失効しますよね。ポイント使用率、失効率を過去実績から集計し、合理的な引当金計上額を算定します。

大手企業のポイント事情

さて、近年ではキャッシュレス還元やポイント還元で、多くの企業がポイント引当金を計上しています。ポイント発行額は、2018年度に年間1兆円を超え、年ごとに同額は増加傾向にあります(野村総合研究所のデータより)

楽天ポイントで有名な楽天株式会社は、2019年12月決算で1021億円もの引当金を計上しています。他にも、dポイントで有名な株式会社NTTドコモは、2020年3月期決算でポイントプログラム引当金として264億円の引当金を計上しています。

販売価格は据え置きながら、ポイント付与を行い、他社との優位性を得るビジネスモデルが大きくなっているようですね。

おわりに

今回はポイント付与と引当金について紹介しました。近年、キャッシュレス決済やポイント還元の流行により、ポイント引当金に関する処理がEC事業者などを中心に増えています。付与時、使用時、決算時の会計処理をそれぞれ把握し、適切な処理を行うようにしましょう。


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1990年生まれ。東京都出身。スタートアップで経営管理業務に従事する傍ら、管理部門構築支援や事業計画策定、執筆活動など、財務経理を軸に幅広く活動している。日商簿記1級保有。

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