ほとんどの裁判は、法廷を自由に出入りでき、興味のある事件を傍聴することができます。その日にどんな事件があるかは、1階の機械で開廷表を確認できます。
私が見たのは公然わいせつ罪や覚せい剤、窃盗罪などで、それぞれ色々と興味深い点はあったのですが、運よく法人税法違反の裁判があり、傍聴券も当たったのでそのお話をします。
傍聴券は私たち6名のうち2名が当たりました。私ともう1人だけ、裁判開始10分前にその法廷の前に行きました。通常は出入り自由なのですが、この裁判は厳重です。建物に入る際に手荷物検査を受けているのに、その法廷に入る前に手荷物をすべて預け(筆記用具と財布のみ持ち込んでよかったので筆記用具は持ち込みました)、金属探査機で身体も検査されました。刃物を持っている人がいないか調べていたのでしょうか。この裁判がその日の最後の裁判で、朝からそれまで見てきた数件の裁判との重々しさの違いにドキドキです。
法人税等の脱税事件でした。被告人は2人、1人(A)が架空の外注費を計上して脱税、もう1人(B)が架空経費の相手側(つまり架空売上げを計上)です。AがBから架空の請求書を出してもらって、実際にAからBに振込みをし、それをBが引き出して、現金でAに返し、その一部を見返りとしてAからBに渡していたようです。戻してもらった裏金は帳簿に載っていないはずですが、検察官からの質問に、被告人Aは詳しい経理処理はどうしているか分かっていないようでした。
すでにAは修正申告をし、本税、延滞税、加算税等の納付は済んでいました。そしてBは架空売上げを計上していたので、更正の請求になるのですね。還付があったのだと思います。法人税等、消費税等の両方です。見返りとしてもらっていたお金については当然申告していなかったので、そこについての納税はしたようです。
この裁判には弁護士が4名もいました。ドラマで見るような「異議あり!」ということはなく、事実は認めていて、あとは、いかに刑を軽くするかというところのようです。
求刑は、Aに対して罰金1700万円、懲役1年、Bに対して罰金1千万円、懲役5ヶ月。それに対し弁護団は、もらったお金は個人的に使ったのではなく、グループ会社の赤字の補てん等に充てていた・反省している・すでに納税している・今後の社会復帰の予定もある(家族の仕事を手伝う等)・前科がない(Aには前科なし、Bには前科あり)等を訴え、執行猶予付きを求めていました。
さて、この事件で顧問税理士は責められていませんが「税理士は気付かなかったのか?」という質問がありました。これに対し被告人は「年一回の決算のときだけ見てもらっていたので気付かなかったと思う」と答えていました。



