・かつては税収の柱だった酒税
今でこそ所得税の6%程度しかない酒税税収ですが、かつて主要税目だった時代もありました。明治30年代には、酒税収入は全税目トップの税収を誇っていたほどです。
当時の大蔵省はよりクオリティが高い酒類の提供が税収増へつながるとし、酒類の醸造技術を研究する国の試験研究機関として、同省管轄の「醸造試験所」を1904年に東京都北区に設置しました。
その後「醸造試験所」は広島県東広島市に移転、その後独立行政法人として「酒類総合研究所」(https://www.nrib.go.jp/index.html)と名前を変え外郭団体化し今に至ります。
研究所は国税庁の外郭団体だけに、目標の1番目には「酒税の適正かつ公平な賦課の実現を図ること」を掲げています。
現在、実際に研究所で行っているのは、
1.酒類の高度な分析及び鑑定
- ・分析・鑑定及び手法の開発
- ・国税庁所定分析法の改良
2.酒類の品質評価
- ・鑑評会の開催(清酒、本格焼酎、果実酒・リキュール)
- ・各種審査会等に対する支援
3.酒類及び酒類業に関する研究及び調査
- ・酒類等に関する研究
- ・共同研究・受託研究の実施、研究成果発表・特許出願
4.成果の普及
- ・保有特許・研究成果の普及、保有微生物等の分譲
- ・消費者向け教養講座の開催、施設公開・見学者の受入れ
- ・海外研究者の受入れ、国際技術協力
5.情報の収集、整理及び提供
- ・情報の収集、整理及び提供
- ・技術相談・消費者相談
6.講習
といった内容になっています。
国税庁では、お酒およびガソリンのスペシャリストを「技術系職員」として採用しており、この技術系職員が酒類総合研究所で研究に勤しんでいます。また酒類総合研究所へは管理職として国税庁から定期的に出向者がおり、元国税職員の酒井正三税理士もその一人です。
酒類総合研究所について、酒井税理士は「研究所の業務は、税務行政に直結した分析および鑑定業務に重点化しています」と説明します。「東日本大震災では福島第一原子力発電所事故を受け、酒類に関する放射性物質の分析を行うためのゲルマニウム半導体検出器を導入、輸出する酒類について放射能分析を行い、欧州連合による輸入規制の規制対象から除外されました。これによって早期に輸出再開できるようになりました」(酒井税理士)。
また海外への日本酒の普及にも力を入れていることもあり、「祖国で日本酒を広めたいというドイツの料理研究家が来たこともあります」と言います。



