調剤薬品等の課税仕入れに係る消費税について、納税者の売上実態から、その他の資産の譲渡等の金額に比して僅かであるとしても、毎年必ず課税資産の譲渡等が存在していたことから、共通売上対応分に区分して控除対象仕入税額を計算すべきという判断が示されました。
1.事実関係
調剤薬局等の事業を営む審査請求人(請求人)は、消費税等の確定申告において、課税仕入れに係る消費税額を計算するに当たり、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものに区分したため、納付すべき消費税等の額を過大に算定していたところ、本来、調剤薬品等の課税仕入れは、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分すべきだったとして更正の請求を行った。ところが、原処分庁は、申告当時の区分の方法に誤りがあるとは認められないとして更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ったため、請求人がその全部の取消しを求めたのが本事案である。
請求人は、厚生労働大臣の指定を受けた保険薬局であり、調剤事業において取り扱う医薬品等の販売による売上げのうち、健康保険法等が適用されるものについては消費税が課税されない(消法6及び同法別表一 六)が、他の薬局への販売や自費診療に係る販売などは消費税が課税される。請求人は、他の薬局の求めに応じて当該他の薬局に対して調剤薬品等を販売する機会が毎年300回程度あり、自費診療に係る販売も毎年20回以上あった。
2.争点
請求人が、確定申告書において、調剤仕入れの用途区分を全て非課税売上対応分としたことは、通則法第23条第1項第1号に規定する「国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」に該当するか。
3.原処分庁の主張
請求人は、調剤薬品等をその他の資産の譲渡等に使用する目的で仕入れ、非課税売上対応分に区分しており、請求人の調剤薬品等の販売に係る課税資産の譲渡等の金額がその他の資産の譲渡等の金額に比して僅かであることからしても、請求人は、調剤仕入れを行った日の状況により、用途区分を合理的に判定しているといえ、確定申告書において調剤仕入れの用途区分を全て非課税売上対応分としたことは、通則法第23条第1項第1号の規定に該当しない。