国税OB税理士が監修。公認会計士・税理士・会計事務所・企業経理担当、税金・会計に関わる“会計人”がいま必要な情報をお届けします!

KaikeiZine

注目キーワード

前向きな行動を引き出すコーチング的な対応(質問編)

悩んでいる人からの相談を受けるとき、まずは相手の話をじっくりと聴いて気持ちを落ち着かせてもらい、相手の存在や努力を認めて自信を取り戻していってもらうことが大切です。その上で、相談された方の意欲を高めて前向きな行動を引き出すような対応についてご紹介いたします。新型コロナウイルス感染症の影響で、厳しい経営状況に置かれている会社も少なくありません。深刻な相談を受ける際にも活用できる技術です。

相談を受けるときに大切な態度やスキルとして、以前の記事で「傾聴」や「承認」についてご紹介いたしました。

<参考>

経営状況の厳しいクライアントや落ち込む部下に寄り添う対応(傾聴編)

相手の存在や努力を認めて自信を取り戻してもらう対応(承認編)

相談にのる場合、大きく分けるとティーチング的な対応とコーチング的な対応があります。ティーチング的な対応は、相手に答えを教えるような対応です。相談者はその回答をもとにすぐに行動を起こすことができ、回答が適切ならば結果がついてくる可能性も高いでしょう。ただし、相談者のやる気が高まったり動機付けになったりする効果は少ないかもしれません。コーチング的な対応は、相手から答えを引き出すような対応です。相手に質問をして考えてもらい、自分の中から答えを導き出してもらいます。すぐ答えがほしい人にはまどろっこしく感じるかもしれませんが、人に言われたことでなく自分で考えた答えはより納得性が高く自発的な行動を引き出します。

■未来を開く質問

何か問題が発生したときに「どうしてそんなことをしたのですか?」「なぜそのようにしたのですか?」という質問を投げかけると、相手はどのように感じるでしょうか。言われた方が自分に非があるように、責められているように感じるかもしれません。「どうして」や「なぜ」といった”Why”の質問は、原因を追究するのに役立ちますが、相手を責める質問になりかねません。

そのようなときにどのように質問すると、相手は前向きに考えやすいでしょうか。まず、状況について知りたいときは、たとえば「何があったか詳しく教えてくれますか?」と質問すると、相手は責められているように思わないでしょう。そして話を聴くときには、傾聴編でお伝えした傾聴のスキルを活用してみてください。話を聴いていくと、問題を解決するための材料に気がついたり、できることが見つけられたりする場合もあります。

その上で、「改善するためにどうしたらいいと思いますか?」「解決するために何か必要でしょうか?」と質問すると、事態の打開に向けて前向きに考えやすくなります。このように “What”や”How”の質問は、未来を開く質問になります。「なぜ」「どうして」と過去を責めるより、「何を」「どのように」していこうかという質問は、相手の視線を前に向ける効果があります。

このような対応のベースには、傾聴編や承認編でお伝えいたしましたように、相手に寄り添って一緒に考える姿勢が大切です。言葉だけでなく、相手の価値や能力を信じて尊重する態度があってこそ相手に伝わります。

1 2
ページ先頭へ