3.請求人の主張

請求人らは、病院敷地について、本件届出書の記載事項に誤り[6]があり、また、添付書類にも誤りがあるから、本件届出書は無効であり、評価通達25の定め[7]により本件評価対象地を評価することとなると主張した。


[6] 請求人は、本件届出書の「所在地」欄及び「地目及び免責」欄等に記載誤りがあると主張した。

[7] 借地権の目的となっている宅地の価額について、その自用地としての価額から、借地権の価額を控除した金額によって評価する方法。

4.原処分庁の主張

原処分庁は、薬局敷地について、被相続人らは薬局敷地を含む土地を医療法人へ賃貸しているのであって、評価対象地に関する借地権は医療法人が有しており、医療法人と同族会社との間で薬局敷地の貸借があったとしても、被相続人らと医療法人の間の賃貸借契約に影響がないと主張した。

5.審判所の判断

(1)病院敷地について

相続の開始時において、病院敷地は、医療法人が被相続人らから借り受けていたものであり、また、本件届出書は、病院敷地に係る部分については有効なものであると認められる以上、たとえ、本件届出書の記載内容のその余の部分に誤り等が見受けられたとしても、本件届出書の「土地の表示」欄に記載した病院敷地については、被相続人らが、医療法人から無償返還を受ける合意があったものと認めるのが相当であるとし、病院敷地については、相当地代通達の定めにより評価すべきであると判断した。

(2)薬局敷地について

本件薬局敷地は、昭和55年から相続開始時に至るまで薬局建物の敷地として、同族会社が利用しており、将来無償で返還されるという特別の事情のない限り、個人が法人に対して建物の所有を目的として土地を使用させることを許諾したときに、同土地に借地権が設定されたものと認めるべきであるから、薬局敷地については、相当地代通達の定めではなく、評価通達25の定めにより評価すべきであると判断した。