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譲渡代金の収益計上時期につき納税者の主張が認められた事例【法人税・消費税/全部取消し】元国税審判官が解説 公表裁決から学ぶ税務判断のポイント(第22回)

停止条件付きの開発権譲渡契約について、契約に規定された書面等の引渡しが履行されなかったことから、同停止条件が成就したものとみるのが相当であり、取引の清算合意書が締結された時点で譲渡代金の収入すべき権利が確定したという判断が下されました。

国税不服審判所平成31年3月14日裁決(国税不服審判所HP)

1.事実関係

本件は、審査請求人(請求人)が、法人税の所得金額の計算上、益金の額に算入した不動産開発に関する開発権の譲渡代金について、原処分庁が、事実を仮装して計上時期を繰り延べたとして、平成27年10月期以後の法人税の青色申告の承認の取消処分及び法人税等の更正処分等をしたのに対し、請求人が、処分の全部の取消しを求めた事案である。

請求人は、平成21年12月設立の不動産の売買等を主たる目的とする株式会社であり、関連会社等が所有する土地の開発許可を得、平成27年8月21日付で、K社との間で、同土地の開発事業に係る開発権(本件開発権)を譲渡する開発権譲渡契約書(本件契約書)を締結した。本件契約書には、請求人が本件開発権をK社に移転するための必要手続き(2条2項)、同2項の手続の完了のみを停止条件として本件開発権の全てをK社に移転すること(同3項)、並びに本件開発権の譲渡及び本件開発権に係るその後の履行義務の対価(6条)の記載があった。その後請求人及びK社は、平成27年8月24日付で、開発事業に関連する契約が締結され、その全てが履行されている旨記載された基本合意書(本件基本合意書)を締結した。さらにK社は、開発許可に基づく地位を請求人から平成27年8月21日に承継したとして、J市長から開発許可に基づく地位の承継承認通知書を受領した。しかしながら、請求人とK社は、平成27年10月27日付で開発権譲渡契約変更覚書(本件覚書)を作成したが、そこには、請求人及びK社は、本件契約書上の義務の履行その他の取引条件が満たされていないこと、開発関連契約の移転手続が進まず手続完了のめどが立たなかったため、開発関連契約の移転手続の完了を待たずに清算することを合意した旨記載されていた。当該合意を受けて平成28年7月6日付で作成された清算合意書(本件清算合意書)には、請求人からK社に対し、開発関連契約に係る契約上の地位及びこれに基づく権利義務の承継がなく、取引条件が実際には成就していないことを確認し、本件清算合意書の締結をもって取引条件が成就したものとみなし、K社は、請求人に対し、譲渡金(本件譲渡代金)の支払義務があることを認める旨記載がされていた。

請求人は、平成28年10月期の法人税について、本件譲渡代金を益金の額に算入した上で、青色の確定申告書を法定申告期限までに原処分庁へ提出したところ、原処分庁は、本件譲渡代金の収益計上の時期は、K社がJ市長から開発許可に基づく地位の承継承認通知書の交付を受けた時であり、請求人が課税時期を繰り延べたことに隠蔽又は仮装があるとして、法人税の青色申告の承認の取消処分、平成27年10月期及び平成218年10月期の法人税の各更正処分及び重加算税の賦課決定処分を行った(消費税に係る処分については省略)。

2.争点

本件譲渡代金の収益計上の時期はいつか(他の争点は省略)。

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