売買とされるリース取引が連鎖する取引の中間に位置する事業者(賃借人・転貸人)が転借人から受取る転リース料及び賃貸人に支払うリース料について、賃貸借処理がされた場合には、法人税基本通達2-4-2の2(当時)の定めにより、延払基準の方法により計算した収益及び費用の額とするという判断が下されました。
国税不服審判所平成30年8月23日裁決(国税不服審判所HP)
1.事実関係
本件は、審査請求人(請求人)が、リース契約に基づき支払ったリース料を損金の額に算入して法人税等の確定申告をしたところ、原処分庁が、当該リース契約に基づく取引は売買として取り扱われるリース取引に該当するため、当該リース契約に係る資産は減価償却資産であり、上記リース料のうち当該資産の償却限度額を超える部分の金額は損金の額に算入されないなどとして、法人税等の更正処分などを行ったことに対し、請求人が、当該リース契約に基づく取引は売買として取り扱われるリース取引に該当しないとして、これらの処分の全部の取消しを求めた事案である。
請求人は、不動産管理業等を営む法人であり、平成23年9月20日付で、N社との間で、本件リース契約を締結した。本件リース契約は、リース料総額1億3212万円(税抜価格)を、平成24年1月から60か月間は毎月220万円ずつ、平成29年1月から10年間は毎年1万2千円ずつ分割して支払うこと、また、リース期間(180か月)中の解約は不可で、同期間が満了し、かつ、請求人が本件リース契約に定める請求人の義務を完全に履行したときは、N社は請求人に対し無償で本件リース資産を譲渡し、請求人は、これを現状有姿のまま譲り受けることとされていた。さらに請求人は、同年12月25日、M社との間で本件リース資産を転リースする旨の本件転リース契約を締結し、同契約は、期間は本件リース契約と同一、同期間の開始日に本件リース資産を引き渡し、転リース料の月額は、請求人が本件リース契約に基づき損金計上する月額に2割を上乗せした額とされていた。請求人は、本件リース契約に係るリース料として、平成24年12月期において2200万円(税抜価格)を、本件各事業年度において2640万円(税抜価格)を毎期それぞれリース料勘定に計上した。また、請求人は、本件転リース契約に係るリース料として、平成24年12月期において2月ないし12月分の合計2904万円(税抜価格)[1]を、本件各事業年度において1月ないし12月分の合計毎期3168万円(税抜価格)をそれぞれその他売上勘定に計上した。
[1] 平成24年12月期において請求人がN社に支払ったリース料は10か月分(220万円X10月=2200万円)であるのに対し、M社から収受したリース料は11か月分(220万円X1.2X11月=2904万円)であったことが推定されるが、この差異の理由について裁決書は特に明示していない。