3.人員数ランキング

続いて人員の面から比較してみます。

(1) 総人員数

売上トップのDTTが人員数でもトップとなり、規模の面では最大手と言えそうです。それに続くのは30万人弱のEYであり、以下、PwC、KPMGと続きます。4位KPMGは約22万人であり、DTTの2/3に留まります。

なお売上2位のPwCは約28万人で3位となっています。人員数ではEYの後につけていますが、比較的少ない人数で売上をあげていると言え、効率のよさがうかがえます。

 

(2) 階層別人員数

パートナー、プリンシパルという経営層の比率を見てみると、KPMGの5%に対し、その他3事務所は4%となっており、人員数が最も少ないKPMGが比較的高い割合となっています。これを経営者の比率が高い=経営者になりやすいと見るか、上が詰まっていて昇格しづらい、と見るか。とはいえBIG4間でそれほど大きな違いは見られません。

 

(3) 男女比

* DTT、EYは2020年度、PwCは2016年度(*11)、KPMGは2019年度

PwC、EY、KPMGについては男女ほぼ半々、DTTはやや男性の方が多いようですが、ここでも大きな違いは認められません。

 

(4) パートナー、プリンシパルの女性比率
最後にパートナー、プリンシパルの女性比率を確認しておきます。

KPMGのみ記載が見当たりませんでしたが、他の3事務所は20%強となっています。ただし、KPMG全体の人員数に占める女性の割合はその他3事務所と同水準となっていることから、概ね同水準にあることが推察されます。

参考まで、トーマツのリリース「女性活躍推進に関する行動計画」によると、2019年2月28日時点での女性パートナー・ダイレクター比率は8.2%となっており、4大国際会計事務所のパートナー、プリンシパルの女性比率とは倍以上の開きがあることが分かります(*12)。

監査法人在籍時を振り返ってみると、昇格や業務に関連し、性別による差を感じることはそれほどありませんでした。ですが上記の数字を見ると、BIG4とは大きな差があることが分かります。経営者層においては、BIG4でも1/4程度に留まっていますが、各事務所のHP等ではDiversityやInclusivenessをうたっており、今後はますます女性比率が上がっていくと想定され、これは日本の監査法人も避けられない動きなのかもしれません。

終わりに

以上、4大国際会計事務所のランキングをご紹介しました。売上、人員、グローバル拠点数など、多くの点で日本の監査法人とは規模が異なっており、また学生からの人気に見られるように、一般的な知名度や評価も高いと言えます。女性パートナー等の比率も比較的高く、各事務所のAnnual Review等からは多様性に配慮している様子がうかがえます。

BIG4と一括して表現されるものの、売上の構成や得意な地域、また人員構成には各事務所の特徴が表れています。仮にBIG4で働くことを希望する場合、それぞれの特徴を把握しておいた方がいいかもしれません。

概括的な紹介ではありますが、この記事が国際会計事務所に興味のある方のご参考になりますと幸いです。

 

【参考・引用・脚注】
*1 「令和2年版モニタリングレポート」、公認会計士・監査審査会、
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakensa/kouhyou/20200714/2020_monitoring_report.pdf
*2 換算レートは2020年9月末TTM USD=105.80円による(以降同)
*3 小数点以下は四捨五入(以降同)
*4 「2020 GLOBAL IMPACT REPORT」, Deloitte Touche Tohmatsu Limited,
https://www2.deloitte.com/global/en/pages/about-deloitte/articles/global-report-home.html
*5 「Global Annual Review 2020」、PricewaterhouseCoopers International Limited、
https://www.pwc.com/gx/en/about/global-annual-review-2020.html
*6 「世界と日本のデータを見る(世界の国の数,国連加盟国数,日本の大使館数など)」、外務省、
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/world.html#:~:text=%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%95%B0%EF%BC%9A,%E6%97%A5)%E3%82%92%E6%89%BF%E8%AA%8D%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82
*7 「Mitsubishi Corporation 2020」、三菱商事株式会社、
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/about/cguide/
*8 「World’s Most Attractive Employer 2020」、UNIVERSUM Global、
https://universumglobal.com/wmae2020/
*9 「Global Review 2020」、Ernst & Young Global Limited、
https://www.ey.com/en_gl/global-review/2020
*10 「2019 KPMG Global Review」、KPMG International Limited、
https://home.kpmg/xx/en/home/campaigns/2019/12/global-annual-review.html
*11 「PwC Diversity Journey」、PricewaterhouseCoopers International Limited、
https://www.pwc.com/gx/en/about/diversity/global-diversity-week.html
*12 「女性活躍推進に関する行動計画」、有限責任監査法人トーマツ、
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/audit/div-woman.html


バナーをクリックすると㈱レックスアドバイザーズ(KaikeiZine運営会社)のサイトに飛びます

最新記事はKaikeiZine公式SNSで随時お知らせします。

 

◆KaikeiZineメルマガのご購読(無料)はこちらから!
おすすめ記事やセミナー情報などお届けします

メルマガを購読する