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年末こそ慎重に!個人事業主によくある節税の失敗2つとおススメの対策を解説

年末年始が近づいています。多くの個人事業主の方は節税を意識していることでしょう。しかし、今回お伝えする2つのパターンには気を付けた方がよいかもしれません。節税で得するどころか損になるからです。

■節税失敗パターンその1:年末に切手や消耗品を大量に買い込む

「紙や封筒を買い込こもう!どうせ経費になるし」と考えて年末に消耗品を大量買いする人がたまにいます。得するように見えますが、ムダな支出で終わるのが関の山です。使いきれなかった分は、期末に必要経費から「貯蔵品」という資産項目に振り替えるのが税務・会計のルールなのです。

  • ●経費の未使用分は「貯蔵品」として期末計上

貯蔵品とは、切手や収入印紙のような金銭価値のあるものや文房具やコピー用紙、ラッピング材料や封筒といった消耗品で未使用のものを言います。通常、これらは購入時点で経費計上します。しかし、期末時点で使いきれなかったものは消耗品費や通信費、租税公課といった必要経費の科目から「貯蔵品」という資産科目に振り替えるのです。こうすると1年間の損益を正確に計算できますが、貯蔵品の分だけ経費は減ります。

なお、小売業や飲食業では、仕入れた商品や材料の残りは期末に必ず数量や仕入値を確認し、棚卸資産に振り替えます。「この棚卸と振替の作業を売り物ではない備品でも行う」と考えると分かりやすいかもしれません。

  • ●定期的に使うものは費用計上OK、だが…

とはいえ、使っていない文具や切手を一つ一つ数えて期末に振り替えるのは大変です。そこで税法では「これだけは定期的に確実に使う」と見越してストックし、費用計上した分については貯蔵品に振り替えなくてもいいよ、としています。

ただ、今回のコロナ禍のように前年よりも事業が冷え込んでいるなら話は別です。売上が急減しているにもかかわらず、前年と同じだけの消耗品費を計上していたら、どう見ても不自然です。購入するなら使い切れる分にとどめておきましょう。

■節税失敗パターンその2:年末に高額な備品や機械を買う

「節税だから」と年末になって10万円以上(青色申告の事業主なら30万円以上)の固定資産を購入する人もいますが、これもお勧めできません。なぜなら、年末の減価償却は1か月分しかできないからです。

  • ●年末に買うと減価償却は1か月分だけ

例えば、36万円の機械を12月に購入したとします。法定耐用年数が6年、定率法で償却するなら償却率は0.5です。

もし年初から使っていれば36万円×0.5=18万円を減価償却費で計上できます。しかし12月に入って購入して使い始めたのなら36万円×0.5×1/12=1万5千円しか計上できません。税率20%なら3000円の節税にしかならないのです。

  • ●買った固定資産の使い勝手や相性も重要

また、機械や備品、車といった道具は、使う主との相性もあります。合わなかったら最悪です。それを含めて考えると、たった1万5千円の経費のために36万円ものお高い買い物を慌てて行うのはもったいないと言えます。

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