2.争点
本件各現金贈与に係る贈与契約がAと請求人との間で成立していたか否か(他の争点は省略)。
3.請求人らの主張
本件各現金贈与は、請求人がBから直接現金を渡されたものであり、請求人口座に係る預金通帳にも「Bより」とのメモ書がされ、また、本件21年現金贈与については、請求人がBから現金の贈与を受けた旨記載された本件21年書面が存在することから、本件各現金贈与に係る贈与者はBである。
4.審判所の判断
①請求人名義の口座に入金された本件各現金贈与に係る原資は、Aの固有の財産である2つの口座から出金された現金であること[1]、②Aは、本件各現金贈与に係る現金を贈与する旨の明確な意思を有していたこと、③「贈与」とのメモ書からは、請求人の口座に対する入金(平成21年6月4日)について、Aが何らかの関与をしていたものと推認され、請求人の申述[2]とも整合するものといえることから、本件各現金贈与に係る贈与者はいずれもAであり、請求人もそれを認識した上で、Aから贈与を受ける意思で本件各現金贈与に係る現金を受領していたことが認められる。
したがって、本件各現金贈与に係る贈与契約は、Aと請求人の間で成立していたと認められる。
[1] 審判所は、さらに、贈与の原資がBから出捐されたものであるとする客観的な証拠も見当たらないと認定している。
[2]本件再調査の請求に係る調査の際、請求人は調査担当職員に、「贈与された現金については、特に使用目的はなく、Aから贈与するからと言われ、受け取ったものである」と申述していたことを指す。