広がる給与格差のセーフティネットは「副業」

2つ目のテーマは「雇用と給料、そして副業」です。

気になりますね。

まず、やはり給与格差は広がっていくと思います。

理由はシンプルで、全般的に企業を取り巻く環境はより厳しいものになっていくからです。

右肩上がりの時代ではないですから、優秀な人材の新規獲得争奪戦は激しくなる一方です。

加えて、優秀な人材の引き留めにもお金がかかる時代ですね。

しかし、企業側の原資は決まっているため、やはり給与差は拡大していかざるを得ない。

抑えるところは抑える、ということはこれまでと変わりなく、平均賃金自体の大きな伸びは期待できないと私は考えています。

 

ところが、雇用される側にも収入が拡大する道は十分にあります。

それが副業です。

既に米国では「副業大国」と表現してもいいほど、ダブルワークが浸透しています。米国の副業事情を少しご紹介します。

<米国のダブルワークの実情>

米国の成人男女の4人に1人は副業を持っていると言われています。ミレニアル世代(1987年から1995年前後に生まれた世代)に限定すると約半数が副業を持っており、米国の副業人口は年々増加しています。

副業を行っている労働者の中で、企業や組織から雇用されていない完全なフリーランスのダブルワークは28%、どこかに雇われながらフリーランスとして収入を得ているのが72%となっています。

興味深いのは、ニューヨークではその副業の中身が、

  • ・週末にクラブDJをするIT企業のエンジニア
  • ・夜間の週末にuberの運転手をする銀行員
  • ・消防士が本業である男性がシェフとしてレストランをオープン

など多様であることです。プライベートの時間を犠牲にして本業で働き続けるより、時間外に好きなことでお金を稼いだ方が良い、という考えもあるようです。

 

アメリカで起きたすべての社会現象が日本でも起きるとは限りませんが、このダブルワークは少しずつ浸透し、日本にも定着していくと思います。

企業の副業解禁は拡大するものの、短所が露呈するだろう

アサヒビール、みずほフィナンシャルグループ、NTTドコモ、キヤノンなど、日本でも業種・業態を問わず多くの企業が副業を解禁しているものの、全体で見ると副業が「浸透する」までには至っていません。その理由の大きなものに、日本企業型の雇用慣習があります。

米国企業は職務を限定した「ジョブ型雇用」が一般的です。企業は従業員に対して遂行すべき業務とアチーブメントを明確にした「ジョブディスクリプション」を提示します。企業はその職務に対して給与を支払いますので、期待される結果を出せばあとの時間はいくらでも副業に回すことができます。

反面、日本企業は職務を限定せず、人に対して給与が支払われる「メンバーシップ型」の雇用であり、ジョブディスクリプションが明確になっていません。これが本業と副業の境界線を曖昧なものにしてしまい、副業浸透の障壁になっています。

※日米を例に挙げた雇用慣習ついては、過去のコラム「コロナ終息後の日本企業の雇用」で紹介しています。併せてご参考ください。

 

日本企業の立場になって考えてみると、このジョブディスクリプションを明確にする、ということができない企業にはダブルワークは定着できませんのでそうなると以下の2つのデメリットが発生します。

★優秀な人材の獲得や維持ができない

★人材を抱え込むため、年齢とともに給与を引き上げていかざるを得ない

この現実に日本企業が直面した場合、ダブルワークは大きく浸透しますし、それに舵を切った会社は大きなメリットを享受できるのではないかでしょうか?

ただ、過重労働や情報漏洩といった副業の短所が見えてくるのも2021年の潮流でしょう。副業を認めないと実体が把握できない「隠れ副業」に繋がり、かえってリスクが増える。このジレンマをどう解消するかが課題となるかもしれません。