皆さん あけましておめでとうございます!さて、2021年最初のコラム、いくつかの大きなテーマを取り上げで大胆に未来を語ってみたいと思います。当たり前の予測で「なーんだ」と思われる方もいらっしゃると思いますが、まあ、そういわずに最後までお付き合いください。

「成長戦略型M&A」は今後ますます増加

1つ目のテーマは「M&A」です。

M&Aのスタイルが多様化してきました。

啓蒙の時代を経て「普及の時代」を過ぎ、今や「定着の時代」に入ってきたM&Aです。

これまでのM&Aは事業承継型であり業界再編型の色彩が強かったといえます。

オーナーが、自ら立ち上げた企業の「存続」を目的として売却することを決断する、すなわち、その際の諸条件についてはオーナーの「会社存続への思い」が色濃く反映されたものになります。

それは社名を残したい、雇用を確保してほしい、取引先を守ってほしい、本社をそのままにしてほしいなどがいい例でしょう。

オーナーの年齢は、大抵のケースが60歳から70歳。

これに対して最近増えてきたスタイルは、成長戦略型と呼ばれるスタイルです。

スタートアップ企業が、大手企業の傘下に入るのがいい例です。

経営者が若く、これから成長期を迎えようとした企業が、そのスピードを加速させるために大手企業をパートナーに選ぶ、ということになります。

このようなケースでのオーナーの年齢は、30代~50代。「オーナーエグジットの若年齢化」が成長戦略型M&Aの特徴です。

自ら立ち上げた企業の成長期を大手企業のインフラを活用して成長を実現させようというものです(インフラというのはこの場合は例えば人材動員力、販売力、仕入力です)

税制改正も追い風に、買い手にとってはチャンス

買い手の立場になって考えてみましょう。

事業承継型、再編型では「そこそこの企業」が対象になったわけですが、成長戦略型では「良い会社」すなわち「これから成長する会社」が対象になるということで、またとないチャンスが到来するということになります。

加えて、令和3年税制改正大綱では、買い手企業がM&Aに備えて積み立てた資金を費用とみなせる「中小企業事業再編投資損失準備金」制度が創設されます。買収時の負担が軽減されるこの制度は買い手側にとってはますますの追い風になります。

もちろん、M&Aというマーケットで考えれば競争が激しくなるし、買収価格が高くなるという現象が起きるため、「成長戦略型M&A」の増加は、コスト面でデメリットといえばデメリットになります。

成長戦略型M&Aに見られるオーナーエグジットの若年齢化は、逆に言えば会社を立ち上げた創業者もその会社をずっと経営するという時代ではなくなっている時代である、ということですね(人生100年時代を反映した流れであるといえるでしょう)

(このあたりのトレンドについて、当グループ主催「M&A成功確率向上セミナー2021-買い手が押さえておくべき最新トピックス」で私が講師となって解説しています。買い手としてM&Aにご興味をお持ちの方はぜひセミナーを覗いてみてください。 https://co-ad.jp/seminars/seminar-list2021