消費税の調査事績~不正還付の把握に注力
消費税の不正還付は、いわば国庫金の搾取ともいえる悪質性の高い行為であるため、特に厳格な調査が実施されています。
令和元事務年度の消費税還付法人に対する調査事績では、実地調査件数は前年対比で89%と減少したものの、追徴税額は213億円(前年対比121%)、調査1件当たりの追徴税額も364万円(前年対比136%)と前年を大きく上回りました。
これは悪質性の高い行為に対して特に厳格な調査を実施した結果といえそうです。
典型的な不正還付の手口は、取引実態がないにもかわらず、国内での仕入を装い架空仕入(課税仕入)を計上するとともに、国外への販売を装い架空免税売上(免税取引)を計上することにより、不正に消費税の還付を受けていたというものです。
事業者が国内で商品を仕入れる際には消費税が課される一方、国外に商品を販売(輸出)する際には、消費税が免除されます(輸出免税)。事業者は売上げに係る消費税から仕入れに係る消費税を控除してマイナスとなった場合は、消費税の申告を行うことで仕入れに係る消費税の還付を受けることができるという制度を悪用したものです。

上記以外の不正還付としては、輸出物品販売場で実際に店舗に来ていない外国人のパスポートを流用し、国内事業者に対する売上(課税取引)を外国人旅行者へ販売した(免税取引)ように装い課税売上を免税売上に計上することにより、不正還付を受けていたという事例がありました。
これは、輸出物品販売場(いわゆる免税店)を経営する事業者が、外国人旅行者などの非居住者に対して免税対象物品を一定の方法で販売する場合には、消費税が免除されるという制度を悪意したものです。



