第13回はヒト・モノ・カネのうち「ヒト」、特に人事評価の実施について紹介します。

人事制度の制定は決めの問題なので、実はそこまで難しくなく、運用フェーズである人事評価こそが重要です。評価結果が本人の想定外に良くない場合は、モチベーションの低下や退職の可能性があります。しかし、評価者である以上、正しく評価しなければ不平等になってしまいます。一人でも甘い評価をしてしまうと、本当に評価するべき人材を適切に評価することが出来ないからです。

評価者は、可能な限り公平に評価する必要があり、それが出来ないのであれば、評価者となる資格は無いと私は考えています。評価は被評価者のキャリアや給料に大きな影響力を持つため、その責任の大きさを改めて認識する必要があります。
過去、人事制度の制定・変更・運用に関わった経験から、人事評価を進める上で気をつけておくべき点を紹介します。

1.個人としての成果を評価する

評価は個人のパフォーマンスに基づくべきです。事前に目標設定やノルマが設定されているはずですので、設定された目標やノルマの達成度合いについて、評価する必要があります。この時に重要な事は、具体的な数字等で判断し、○×を明確に判断出来るようにしておき、評価の過程や結果に評価者の感情が入らないようにすることが重要です。
感情が入ってしまうと好き嫌い、食事や飲みに行っているかどうかなどの、被評価者の個人的な情報から判断してしまう等、仕事とは関係無い事で評価に影響が出てしまいます。

もちろん、人を大事にする上で、あえて感情を入れて、一定の不平等になることを承知で進める事もあります。その方が会社や部署にとって、必要であり、家庭の事情や、やむを得ない健康等による場合は、多少不平等になったとしても周囲は納得するケースが多いです。但し、このように感情を入れる事による不平等は、原則的に発生させないように徹底する必要があることに留意しましょう。

2.会社やチームに対する貢献を評価する

個人の成果を評価した後、会社やチームへの貢献を評価する必要があります。個人としてはノルマも達成し、成績も良かったとしても、他人を貶めて自身の評価を上げるヒトも世の中にはいます。中途採用で過去にキャリアが上手く構築出来なかった方に、このような方が一定数いました。自身の成果を追求するのみで、周囲に良い影響を与えない方、むしろマイナスな影響を与える方に対して、どのように評価するのかは非常に重要です。

上長の行動を、必ず部下は見ています。毅然とした態度を示せない上長は、上長の役割を降りるべきだと私は考えています。個人のパフォーマンスは当然大事ですが、チームであれば1+1を2ではなく3、5とすることが可能です。それこそ、管理職が求められる役割ではないでしょうか。
個人の評価のみならず、会社やチームへの貢献も評価軸に入れていることを、事前に被評価者全員に伝えておく必要があります。会社やチームに貢献出来ない方は、長い目で見るといずれ去っていく事になります。