2.争点

①本件輸入取引に係る仕入額は、本件輸入申告額か、また、②本件差額が過大に損金の額に算入された額か。(他の争点は省略)

3.原処分庁の主張

本件輸入取引に係る仕入額は、請求人の輸入申告における申告価格が正しいから、原処分庁が当該申告価格を基に算出した本件輸入申告額が、各事業年度における本件輸入取引に係る仕入額である。そして、請求人が、本件請求書に基づいて総勘定元帳に計上した輸入仕入価額は、本件元帳計上額であるから、本件元帳計上額と本件輸入申告額の差額である本件差額の全額がQ社からの本件輸入取引に係る仕入額として過大に損金の額に算入されたというべきである。

4.審判所の判断

原処分庁の上記主張は、本件申述をその根拠としていたため、本件申述の信用性について、請求人は、税関における輸入申告では、当該申告日の為替レートで円換算した金額を申告しており、当該為替レートは1USドル当たり120円よりも円高であることがほとんどであった[2]ため、本件輸入取引の実際の取引価格よりも低額となったこと、本件税関調査を受けた際には、関税や消費税を追加で支払わなければならないことを認識していたが、税関の職員から提示された質問応答記録書に署名押印すれば、関税等を追加で支払わなくとも税関調査を終了すると言われ、ラッキーだと思って、真実とは違うことを知りながら、上記記録書に署名押印した、などと審判所に対し答述(本件答述)した。

これに対し、審判所は、①そもそも、本件申述からは、税関に申告した価格が正しい価格であり、請求人の仕入額であるという具体的理由も明らかではなく、また、当該各輸入申告書に添付されたシッパー作成のインボイス以外には、これを裏付ける客観的証拠がないこと、②本件元帳計上額が実際に送金された事実が少なくとも5回あったことが確認され、本件輸入取引に係る送金状況と、税関に申告した価格が正しい価格であり、請求人の仕入額であるという本件申述は整合しないことから、本件申述は採用することができないと判断した。また、本件申述のほかに、本件輸入取引に係る仕入額が本件輸入申告額であるとする原処分庁の主張を裏付ける証拠はなく、請求人が本件輸入取引に係る仕入額を過大に計上していたことを認めるに足りる証拠もないとして、本件輸入取引に係る仕入額は、本件輸入申告額であるとはいえず、損金の額に算入された仕入額が過大であったとも認められないと説示した。

一方、原処分の後、請求人は、本件輸入取引に係る輸入申告について一部修正申告を行い関税等及び延滞税を追加で支払っていることから、審判所は、本件答述に沿う内容で、実際に、一部修正申告をし、追加の関税等及び延滞税の支払までしている点を考慮すれば、請求人代表者が本件申述を行った理由についても、関税を逃れるためという動機もあり得ることから、証拠上、本件答述が虚偽であるとして排斥することまではできないと説示した。


[2] 裁決書では、本件差額の発生原因について個別に分析していないが、請求人が外貨建て取引を円貨に換算する場合、社内レート(人民元については20円ないし22円、米国ドルについては120円等)を採用して仕入計上していたのに対し、税関では通関時の税関の公示レートで日本円に換算していたことが本件差額発生の主たる要因であったように思われる。なお、裁決書では、請求人代表者が、中国のシッパーを使って意図的に輸入申告の価格を操作したか否かについては特に検討していない。