やむを得ず自宅を手放す場合、買った時よりも高く売れれば良いのですが、多くの場合は損が出てしまうのが通例です。自宅を手放して出た損は、実は他の所得と損益通算することで納めるべき税額を少なくすることができます。さらに、一定の条件を満たせばその損を来年以降に持ち越し、来年以降の税額も抑えることができます。

自宅の売却損は損益通算できる

売った年の1月1日現在で、所有期間が5年を超えるマイホームの譲渡損失が生じた場合には、後述の(1)または(2)により、その譲渡損失の金額をその年の他の所得と損益通算することができます。

※損益通算…他方の利益と他方の損失を相殺すること。

例)給与所得が500万円、譲渡損失が△100万円の場合、総所得金額を400万円にできる

その年で通算しきれなかった譲渡損失の金額がある場合には、その年の翌年以後3年内の各年分(合計所得金額が3千万円を超える年分を除きます。)の所得から繰越控除することができます。

※繰越控除…控除額を翌年以降に繰り越すこと。

例)

2020年…給与所得500万円、譲渡損失△1200万円→総所得金額△700万円

2021年…給与所得500万円、繰越控除△700万円→総所得金額△200万円

2022年…給与所得500万円、繰越控除△200万円→総所得金額300万円

(1) 新たにマイホームを買い換える場合の特例

マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間に新たなマイホームを取得し、年末においてその新たなマイホームの取得に係る住宅ローン残高があるなどの、一定の要件に該当する場合には、売ったマイホームの譲渡損失の金額について損益通算および繰越控除をすることができます。

(2) 新たにマイホームを買い換えない場合の特例

マイホームの譲渡契約締結日の前日において住宅ローン残高があるマイホームを売ったなどの、一定の要件に該当する場合には、そのマイホームの譲渡損失(住宅ローン残高からマイホームの譲渡対価の額を控除した残額を限度とします。)の金額について損益通算及び繰越控除をすることができます。

■特例の適用要件