国税当局はFX(外国為替証拠金取引)により大きな利益を出した人への取り締まりに近年敏感になっています。大きな損が出る年もあれば利益が出る年もあるわけですが、損が出た場合は確定申告をしていれば翌年から3年間の利益と相殺をすることができます。全く確定申告をしていないと利益が出た時に税務署のお尋ねが来て大きな追徴課税を受けることになりかねません。

FX取引で確定申告した方が良い人

FX取引で利益が出て全ての所得を合算した金額が控除額より多くなった人、給与所得があり給与所得・退職所得以外の所得とFX取引の利益を合算したものが20万円以上ある人は、FX取引で得た利益についても税務署に申告する義務があります。

FX取引で得た所得の区分は、株式や債券などと違い「譲渡所得」とはなりません。店頭デリバティブ取引、市場デリバティブ取引に関わらず「雑所得」として申告することになります。

ただし一般的な雑所得(副業収入や年金など)は他の所得と合算して税金を課される総合課税ですが、FX取引の所得は「申告分離課税」となります。申告分離課税なので、他の所得での利益や損失と相殺できません。ただし、同じく雑所得で申告分離課税とされる、先物・オプションなどといった先物取引とは損益通算することができます。

なお、金融商品取引法に規定する店頭デリバティブ取引に該当しない取引は、差益は総合課税の対象となります。

税率は、所得税15%(他に地方税5%)です。復興特別所得税が所得税額の2.1%上乗せされます。

①FXの売買益があるが確定申告しなくていい人

・年末調整されているサラリーマンでFXの利益が給与以外の所得と合算しても20万円以下の人

・FXの売買益含めた全ての所得金額が控除額以下の人

②FXの売買について確定申告が必要になる人

・年末調整されているサラリーマンだがFXの利益が給与所得・退職所得以外の所得と足して20万円以上になる人

・FXの売買益含めたすべての所得金額が控除額以上の人

③FXの売買について確定申告をした方がいい人

・FXで損失がある人

「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」により、確定申告することで損失を出した年のFX・先物・オプション取引の損と損益通算することができます。

また、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により「先物取引に係る雑所得等の金額」から繰越控除することができます。