無予告調査で現金の流れ把握
ところで、 こうした「バー・キャバレー・ナイトクラブ」だが、税務署的な目線で見ると、一つの共通点が見えてくる。それが「典型的な現金取引業種」であること。こうした業態について税務署は、あらかじめ実地調査の日程を連絡調整せず、無予告で調査するのが一般的だ。これを業界では「無予告現況調査」というが、無予告調査の主眼は、日常の営業形態を把握するため、その瞬間しかできないことを調べることになる。現金商売の場合、その日の売り上げの一部を除外しても、記録に残っていなければ把握が難しい。そのため税務署も、その売上除外を見つけるために、無予告で調査することになるのだ。
調査するに当たっては、税務署内で準備調査を行い、申告所得の確認、同規模同業種の徹底比較、名寄せされた各種資料の検討を行う。さらには、実態を掴むために必要となれば、お店の内外観調査も行い、実質経営者の割り出し、現金管理状況、客の入りなどを綿密に調べ上げる。
また、近隣の金融機関から預金情報を収集するほか、実質経営者の自宅などについても調べ上げる。このとき、その経営者の生活状況などについてもチェックする。こうした入念な準調査を行い、実地調査が必要となる部分について検討していく。パターンとしては、調査当日、何処に同時臨場するか、細かく決めていく。
調査着手後は、第一義的には、売上除外分の探索が重要であるが、電気などの使用量、従業員の賃金支払い状況、調理材料の使用量、内装や照明工事からも除外された売上除外分の推定は可能となるため、経費部分についても細かくチェックしていく。
そのほか、レジスター周りの状況には張り付きで厳しく確認する。
イベントの記録、カードの使用状況、手書き請求書・領収証の把握、客引きへの支払い記録、他店回し客、自動販売機売上記録、銀行員・証券マンなどの名刺・パソコンに残された記録などは実質経営者への聴き取りとあわせ重要なカギとなるケースがある。
また、レジスターのソフトウエア使用説明書の書き込みや付箋などは注意して取り扱う。
クラブなどが24時間営業となった場合、営業時間の延長を行っているにも関わらず、改装工事の困難さ、あるいは店舗が入っているビルオーナーの許可が得られないとして、あたかも一切の延長営業売上を除外するケースも考えられる。こうした情報をキャッチしていくための情報収集も行うと考えられ、営業時間が規制緩和された一方で、調査ターゲットとして狙われる可能性が高くなる。




