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“会計アントレプレナー”としてビジネスを構築し、顧客と<いっしょに>未来を切り拓く。 【いっしょに税理士法人 代表社員 上田智雄氏】

今回のゲストは、30代で独立開業をし現在12年目になる、いっしょに税理士法人・代表税理士の上田智雄氏。実は、上田氏は20代を一般企業の法人営業としてキャリア積んだ“遅咲き”の実力派会計人だ。“顧客そして社会にとって本当の意味で役に立ちたい”と考え、税理士になることを決意したと話す。そんな上田氏が語る今後の会計業界に求められることとは…?上田氏のこれまでのキャリアと共にお話を伺った。

税理士を志したきっかけ

会計業界に入られる前は、一般企業にて営業をしていらっしゃったと伺いました。そこから税理士を目指されたきっかけをお聞かせください。

上田:29歳になる手前まで、中小企業・官庁向けに、機材関係や内装、OA機器関係等を販売する業務を行っていました。飛び込み営業しながら自分で顧客を開拓するのですが、やはり物というものはなかなか売れません。そのときに私は「売るのは難しいが、そもそも”買う”とはどういうことなのか」と考えました。お客様は困っていることがあるから買うわけです。それなら、その困りごとを解決するような商品なら売れるだろうと考えて、お客様の困っていることをヒアリングしていきました。

すると、困ったこととして挙がるのは売上、経費、利益など、お金に関することが多かったのです。そこで25歳くらいから簿記の勉強を始めました。簿記の知識を得ると、お客様の話も分かるようになるし、コミュニケーションも図りやすくなる。社内でも上層部に対してアイデアを出せるようになってくる。そういった手ごたえもあり、より会計を勉強してみようと思うようになりました。

転職する前に3年ほど勉強して2科目ほど合格できたので、さらに極めてみたくなり、2004年、29歳で会計業界に転職しました。

独立するまで

転職後、仕事をしながらの勉強は大変でしたか。

上田:大変さはありましたが、それ以上に目の前の仕事だけでなく、より高度な仕事をしてみたいとウズウズしている気持ちもあったのです。変化のためならこのくらい勉強して当然だと思っていました。

転職してから税理士試験に合格するまでの4年間は、1日の勉強時間が、平日は5時間程。土日は10時間。この年代は友達からの誘いも多いので、GWや正月はウィークリーマンションを借りて、こもって勉強していましたね。

法人営業から会計業界に転職されて、何か大変だったことや、感動したことなどはありましたか。

上田:個人の会計事務所に勤めていた5年のうち、初めの2年くらいは会計業界の細かさに慣れませんでした。当然、誤字脱字、数字の桁、そういったことに気を遣う業界ですから。

しかしその一方で、営業時代には官庁へ提出する書類のためのシステムを作ったこともあり、書類の構造を理解して定型化することは得意でもあったのです。整理整頓する特性が自分にあったから、異業種への転職も乗り越えられたのかもしれませんね。

感動したことといえば、資金繰りが厳しい会社の再生を経営者の方と一緒にできたことです。売上が下がって借り入れもできない、資金繰りも苦しい、といった状況でしたがお客様と一緒に経営計画を作って、銀行との交渉にも立ち合いました。途中、経営者の方が命に関わる大病を患ってしまったのですが、結果的には会社も存続でき、なんと奇跡的にご病気までも良くなりました。とても感謝されて、自分自身でもこういうことがやりたくて仕事をしてきたのだと実感できました。価値ある仕事ができたことが嬉しく、この業界でやっていこうと思えました。

その後、働いているうちにさらに自分でやってみたい、試してみたいと思えることが増えてきたので、独立を決めました。

経営について

法人名がとても印象的です。「いっしょに」という名前にされた理由は何でしょうか。

上田:最初はもっと格好いい名前にしようと思っていました。しかし周囲から「あなたと仕事で接してみると温かみがある。カタカナの名前より、もっと温かみのある名前がいいのでは?」と言われたこともあり、自分の根底に流れている理念を見つめなおすことにしました。

やはり自分の根底には、お客様や周りの仲間と「いっしょに」やりたいという気持ちが強い。自分の根幹にある理念に立ち帰る意味も込めて、この名前に決めました。

現在、独立をされて10年以上経ちましたが、経営者として意識されていることはありますか。

上田:目先の忙しさに追われていると理想や理念を忘れて、行き当たりばったりの「こなす」仕事になってしまいがちです。また、「会計事務所なんてこんなものでしょ!?」と限界を設けてしまうと、自分たちだけの利益や保身を優先したりしていく気持ちが出てくるかもしれません。しかし我々がやるべきなのは、お客様のために、突き詰めれば社会のために貢献すること。そのために偏った賢さを捨てること。その部分は忘れないでいたいと、常に意識しています。

社内での研修はもちろん、新卒の方への家庭訪問もあると伺いました。こういった面白い取組みをされるようになったきっかけは何でしょうか。

上田:これも先ほどの「行き当たりばったりの自分」ではなく、理想や理念を持って仕事をすることに繋がります。新しく入ってくるメンバーも「いっしょに」の理念で繋がった仲間です。

特に若いメンバーは、これからの時代を生きる人たち。目の前の仕事に追われて自分のことばかりになってしまってはいけません。感謝の気持ちを忘れずに行動できるかどうかは、これからの人生を左右すると思っています。

ですから、まずは育ててくれた両親へ一緒に感謝の気持ちを挨拶にいく、ということで家庭訪問をしています。コロナの関係で今年1年はできませんでしたが、また春になったら実施したいですね。

事務所での仕事にも、プラス面はありましたか?

プラス面でいうと、こちらが新卒の方の背景を知っておくことで、その人をより多面的にとらえられるようになりました。本人の言葉だけでなく、ご両親がどう育てられたのかを知っているからでしょうね。共に働く仲間として、偏りなく、愛情を持って接することができるようになりました。

新卒採用されている会計事務所様は少ないように感じます。未経験の方を採用されている理由はありますか?

上田:長い目で見ると、共に働くためには価値観を共有することが大切だと思うのです。新卒ですとまっさらな状態ですし、価値観の共有がしやすいです。

また、20年後、30年後の会計の未来を夢のあるものにしたいという思いもあります。私の20年、30年後は人生終盤ですが、新卒の方にとっては働き盛り。これからの会計業界を担う方を育てて、その方たちが新しい価値を作り出していってほしい。夢を持てるような業界にしていきたいです。

今後のビジョン

今後の事務所や、会計業界の展望はどのように考えていらっしゃいますか?

上田:これまで、お客様の要望を伺って、税金や節税に関することや、資金繰り、コストカットの相談に乗っていました。そうやってお客様の個々の悩みを解決することはもちろん大切ですが、その一歩先を考えると、お客様の要望に応えるだけでは限界があるように感じます。

社会にも新しい潮流があり、会計業界が大きく変化していく時代です。私たちも社会の問題にも関心を持って、解決のために携わることが大切だと考えています。

社会に対して何を与えられるかが、企業に求められる使命。ですから旧態依然のやり方ではなく、会計という強みを持ちながらアントレプレナーとしてビジネスを構築していく。これが、この先必要なのではないでしょうか。

アメリカの会計事務所をいくつか回ってみたこともあるのですが、話を聞くと、彼らはアントレプレナーシップを日本よりも持っています。会計業界はトラディショナルで以前のものを踏襲している部分が多い。それはアメリカでも同じなのですが、その一方で新しいビジネスを作っていこうという気概もあるのです。

人口が減っている日本で、できることは何か。社内でも、新しいビジネスを作っていくためのディスカッションや活動を増やしていく予定です。

現時点で持っているアイデアとしては、今後増えていく限界集落への対応です。そういった過疎地に対してできるサービスや、高齢者向けにお金周りの見守りサービスを作っていきたいと思っています。10年後、20年後の社会で困ることを想定して、それを解決していけるように動いていきたいですね。

高齢者や、これからを担う若い方が生きやすい社会を作りたいという思いがあるのかなとお話しを伺っていて感じますが、いかがでしょうか。

上田:そうですね。”人が人として生まれたなら、それぞれが脳力を最大限に発揮する人生を送ってほしい”という気持ちが根底にあります。会計は、人の人生に関われる仕事です。一つの会社内だけの数字を追うのが会計ではありません。数字を見ながら、社会の中での自分たちの役割が為されているのかを追うものなのです。

この世界の中で、日本の役割は何か。世界経済の中で、各会社は何を強みとしてどんな役割を果たすのか。個人個人も、社会における自分の役割は何なのかー。

自分の個性を活かしながら、自分の役割を一人ひとりがきちんと認識すること。さらに個人が集合体になれば、会社として、日本社会として、より良い結果が出せると思います。会計を通して、そういう社会を作っていきたいです。

 

社会の豊かさに貢献するため、会計を通じて新しい価値を創造していくのですね。

上田先生、ありがとうございました!

いっしょに税理士法人

●設立
2009年

●所在地

東京都渋谷区恵比寿1-8-6 共同ビル4階

●ビジョン

中小企業がワクワクするビジョンに向けてまい進してもらうため、マインドのボトルネックとなる「会社のお金の流れの漠然さ」を解消し、社長と社員とで危機感を共有し一丸となって成長してもらう。

●企業URL
https://isshoni.co.jp/

 

著者: KaikeiZine編集部

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