■修繕費?資本的支出?判断するための8つのステップ
ではここから判断するための8つのステップを見ていきましょう
- ●ステップ1:20万円未満か
1件あたりの修理・改良でかかった金額が20万円未満なら修繕費です。修理作業や工事が年をまたいでしまい、2年以上に渡って行われたのなら、「1年あたりの支出額が20万円未満かどうか」で判断します。
- ●ステップ2:おおむね3年以内の周期か
20万円以上かかる修理・改良であっても、大体3年以内の周期で行われるものは修繕費です。資産が高額なら修繕費も20万円以上と高額になることは、ままあります。
実績がなく、メンテナンスの周期が分からなければ、担当の業者に聞くとよいでしょう。あるいは「これはどうみても3年以内の周期だ」と判断できるなら修繕費になります。
- ●ステップ3:資産の価値を向上させたり、使用可能期間が延びたりするか
明らかに資本的支出となるものは資産計上します。ここでいう資本的支出とは次のいずれかに当たるものです。
- ・以前にはなかった機能がついてアップグレードした
- ・前よりも明らかに価値が向上した
- ・使用可能期間が延びた
どれにも当てはまらなければ、次のステップ4に移ります。
- ●ステップ4:通常の「維持管理・原状回復のため」と言えるか
判断しきれないものは、「通常の修繕費の範囲内かどうか」で考えます。ここでいう維持管理・原状回復は次のような意味です。
- ・維持管理:いつもどおりの機能で使い続けられるようにすること
- ・原状回復:資産が故障や破損したときに元通りにすること
●ステップ5:60万円未満か
ここから再度、金額判定をします。1つ目が60万円未満かどうかです。この金額未満なら修繕費になります。
- ●ステップ6:「前期末取得価額×10%」以下
2つ目の金額判定は「前期末取得価額×10%以下」かどうかです。この金額以下なら修繕費になります。
前期末取得価格とは「購入時の取得価額+過去の資本的支出」の額です。車の購入価額が200万円、減価償却累計額が100万円ならば「200万円×10%」で判断します。
- ●ステップ7:災害に伴う支出か
地震や豪雨といった災害で資産が損壊することがあります。この修繕費は高額になるのが大半です。この復旧のための修繕費や補強工事は修繕費に該当します。
とはいえ、中には「これは単なる原状回復か、それとも以前より価値が上がっているのか」と判断しにくいものもあるでしょう。こういったときは「支出額×30%」を修繕費、残りを資本的支出として処理します。
- ●ステップ8:それでも分からなければ「割合区分」
ここまでステップを踏んでも修繕費か資本的支出かが分からないものは、次のいずれか少ない金額を修繕費とし、残りを資本的支出とします。
- ・支出額の30%
- ・修理・改良をした資産の前期末の取得価額×10%
ただし、こちらは継続処理が条件です。これでも難しいものは最後、実質で判断することになります。