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“公認会計士YouTuberくろい”の正体に迫る!エンターテイナーとして会計の楽しさを伝え、業界に新たな風を【公認会計士・白井敬祐氏】

1年前に突如YouTubeに現れた覆面・公認会計士。自身の合格体験記や経理財務の裏側について、テンポ良く、時に冗談を交えながら話しているのが印象的だ。これまでの<会計・財務>の敷居の高さを覆すキャッチーな話しぶりや、一方でビジュアルは覆面黒ずくめという謎のヴェールに包まれた存在に注目が集まり、現在YouTubeのチャンネル登録数は1万人を超えている。実のところ彼の正体は、東証一部上場企業において連結決算、開示書類作成業務に従事している現役経理マンだった。これまでのキャリアやYouTuberになったきっかけ、運営にあたっての苦労話など本邦初公開。覆面を取り外し、まさに“その素顔”に迫ります。(取材・撮影:レックスアドバイザーズ 市川)

明るい性格になりたい…強烈な劣等感が会計士になるための原動力だった

会計士を目指したきっかけを教えて下さい。

白井:岡山県の大学に行くまでの18年間は、香川県で生まれ育ちました。幼少期は、とにかく人見知りで、誰かと会話をすることが苦手でした。でも本当は明るくなりたい、そんな気持ちから、友人は話すのがうまくて、グループの中で目立つ存在の人が多かったですね。

自分もなにか得意なことを見つけたいと思って、とにかく勉強をしました。勉強は、コミュニケーション能力は関係ありませんので。それもあってか中学・高校は県内トップの進学校に進みました。

10代も、性格は暗いし目立たないので、褒められることも少なくて…ですがある時、クラスで課題発表をしたら先生にとても褒められたことがありました。それがとても嬉しくて。

高校生の時も英語のスピーチをする機会があったのですが、自分なりに分かりやすく伝えるために研究をしました。ものすごく練習もして、その結果、校内のコンテストで入賞することができたのです。勉強と同じで、プレゼンも練習をすれば一定以上の成果が得られることをこのときに学びました。

しかし、大学生になっても相変わらず人と話すのは苦手で…飲食店のアルバイトをしても全く続かなくて、数か月で辞めては仕事を変える中途半端な生活を繰り返していました。挙句の果てには、親に相談してアルバイトはせず仕送りだけで生活をするようになりました。今思うとまずいですよね…(笑)

公認会計士という職業の存在を知った大学3年生の春。

白井:特にやりたいこともなく、今後はどうしようかと思っていました。そんなときに大学の先生の「この世で勉強が仕事に直結するのは医者、弁護士、会計士だ。士業は勉強すればするほど、仕事で活躍することができる。」という言葉に衝撃を受けました。経済学部で会計のゼミに入っていましたが、それまで会計士を目指していたわけでもなく、就職活動もしていない状況でした。しかしこの言葉がきっかけで、会計士になるべく勉強しようと心に決めました。

卒業後は就職せず岡山から東京へ上京。昼間は会計大学院、夜は専門学校に通って、勉強は1日10時間ほどしました。周りは社会人になりキャリアを積んでいる中、自分は親に仕送りをしてもらいながら生活をしていたのでプレッシャーと申し訳ない気持ちでいっぱいでした。思い返しても地獄のような日々です。

そして、3年かけて合格をしましたが、そのときは家族総出で喜んでくれました。祖母と母は、官報合格冊子の自分の名前のところに泣きながらマーカーを引いて仏壇に飾っていましたね(笑)

人と話すのが苦手でも、勉強ができれば喜んでもらえる。あぁ、これでもう解放される。これですべてが報われる。そう感じました。

しかし、それもつかの間。就職活動、そして仕事において大きな壁が立ちはだかっていました。

時は、就職氷河期。就職できるもコミュ二ケーション面で苦戦をした新卒時代。

白井:2011年に合格をしましたが、その年はリーマンショックや震災の影響もあり超氷河期。どこも内定をくれません。そんな中、清和監査法人にだけ内定をいただけて、2年ほど中小企業の監査を行いました。

なんとか就職できたものの社会人1年目は非常に苦労したことを覚えています。もともと私はコミュニケーションが苦手。しかし監査というものは、人の話を聞くのが仕事です。話を聞いた上で矛盾点がないかを確認します。しかし会話するのが苦手なので、相手が何を話しているのか、自分が何を話し、何を質問すればいいのか分からず戸惑いました。

毎日上司やお客様に怒られる日々。これだけ勉強を頑張って難関試験に合格したのに…世間は、机上の知識を持っているだけでは感謝されないことを思い知らされました。

さらに監査は、社会的貢献度は高くても”ありがとう”と言われることは滅多にありません。

私は、もっと人に喜ばれる仕事をしたかったのです。

その後、大手監査法人へ転職をされています。

白井:ちょうど2014年は景気も上向き、大手の監査法人も求人を出していましたので転職をしました。ここではIFRS導入のコンサルの仕事をしていました。プレゼンをする機会が多かったのですが、人に分かりやすく説明するのは得意だったこともあり、やりがいはとてもありました。

そこで、転機が訪れます。社内の研修講師のミッションがあったのです。はじめは何故自分が…!?と驚きを隠せませんでした。実際にやってみてマイクを持つ手と足がすくんでしまったのは今でも忘れられません。しかし、何度か続けていく中で、こちらが一生懸命分かりやすく説明しようとしていると、聞いている人が「なるほどな」という顔をしてくれるようになってきました。

10代の体験にも繋がりますが、人と話すことは苦手でも、分かりやすく発信することはできるのだなと思いました。

“くろい”はコンプレックスを克服してくれる自分の中のヒーローだった

YouTubeを始められたのは、何がきっかけでしたか。

白井:今の会社に入って2年ほど経ったときに、何か新しいことをやりたいと思い始めました。以前の研修講師やプレゼンの仕事にやりがいを感じていたことを思い出して、最初は講師業の副業を探したのですが、なかなか求人がありません。

ある日、いくつか面接を受けても不合格が続き、心身ともに疲れてしまって…偶然通りかかった整骨院に入りました。そしたら、そこのスタッフの方が独立をしようとしていて、ある税理士YouTuberの方の話をしてくれました。その方はフリーランスや中小企業向けの経営者に税金の知識を発信されていたのですが、それを私も拝見して、これだ!と思いました。

2019年の年末に構想を始めて、2020年にデビューしました。

“くろい”の名前の由来と覆面には意味があるのですか?

白井:これまで生きてきた白井は、幼少期から人見知りで、人前に話すのが苦手だった自分なので、全く逆の“黒井”と名付けました。

黒井は明るく、話すのが好きなイメージ。”本当になりたかった自分自身“を表しています。

覆面であるのは、突如現れた謎のヒーローっぽくしたかったのと、もし失敗したときに黒歴史になってしまうので顔は隠すことにしました(笑)

KaikeiZineの読者の方の中には、自分もYouTubeで発信してみたいと考えている方もいらっしゃるかと思います。これから始められる方に、アドバイスはありますか。

白井:まず、大前提として、簡単にできるとは思わない方がいいです。まして会社員をしながら副業として始めるのはとても大変です。何が大変かというと、ネタを考えて、どうやったら面白くなるかを考えるのがとても大変なのです。ただ話すだけでは、視聴者に見向きもされません。週2回配信をしていますが、その2回のために日々絞り出すように考え続けています。何回か撮り直しもしますよ。

楽しく伝えるために、心がけていらっしゃることはありますか。

白井:まずはテンポですね。ダラダラ喋っていると、すぐに他の関連動画に変えられてしまいます。早口を意識して、聞き取ってもらえない部分は字幕でフォローしていますね。

初期は徹夜で動画を作っていました。初期に撮影した簿記3級の動画は納得いくクオリティになるまで3日かかりました。それでも今見たら、全然良い出来ではありません。そのため現在は非公開にして封印しました(笑)

今は1本に6、7時間くらいかけて作っています。ネタが思い浮かばなくて締め切りが迫ったときは、ほとんど寝ずに作業して会社に行ったこともあります。

実は、もともと始める前から大変だということは分かっていたので、YouTubeを始める前にランニングや筋トレなど体力作りから始めました。機材よりも、まずランニングシューズを買ったのは笑い話です(笑)

<会計をもっと身近に>伝えたい本当の理由

2日の配信は大変だと思いますが、なぜそこまで頑張れるのでしょうか。

白井:私のような自分に自信のない方にも会計士という資格によって、人生が明るくなることを伝えたいのと、一方で会計業界についている”敷居の高さ”と”裏方”のイメージを変えたかった。

今、会計士を目指している方もいるとは思いますが、私は会計士になって本当によかったと思っています。人見知りで何も取柄のなかった自分が、会計士という資格を得ることで、”本当になりたい自分”になることができた。大学生のときに会計士を目指さなければ、そのままどこにも就職できない落ちこぼれの自分だったかもしれません。

今後の目標をお願いします。

白井:今後もYouTubeで発信することで、コロナ禍で誰にも会わず、一人きりで勉強している学生の背中を押せるような存在でありたいと思っています。

実際に動画を見て「僕も自分に自信がなく勉強ばかりしてきました。くろいさんのような話せる会計士になりたいです」とお便りをいただくこともあり、この仕事にやりがいを感じています。

私自身、まだまだ人と話すのが正直苦手です。でも人は、<少しの勇気>さえあれば誰でも変わることができます。

私の配信が、誰かの希望になっていてほしい。そう願っています。

 そしてもう一つ目標があり、今後は講師業をメインの仕事にしたいと思っています。経理の仕事もやりがいはありますが、講師としてセミナーや教育関連の仕事にチャレンジしていきたい。講師業をメインの仕事にするために、独立して、日本で一番有名な講師になること。これが私の夢です。

YouTubeを通じて新たな自分に出逢えたと語る白井先生。今後は講師業などご活躍の場を広げていかれるのですね。白井先生、ありがとうございました!

白井 敬祐/公認会計士

 

2012年:清和監査法人入所、中小企業クライアントへの監査業務に従事

2014年:新日本有限責任監査法人入所

2016年:有限責任監査法人トーマツ入所。IFRS導入支援業務、研修講師業務に従事。東証一部上場企業経理部へ出向し、IFRS連結決算をサポート

2018年:東証一部上場企業の経理部に入社。連結決算、開示書類作成業務に従事

2020年:「公認会計士YouTuberくろい」会計を楽しく伝えるYouTubeチャンネル開設。登録者約1.2万人

2021年夏:独立予定

 

著者: KaikeiZine編集部

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