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財務省事務次官に矢野主計局長を昇格 菅総理の官房長官時代の秘書官

政府は、太田充財務事務次官(61)の後任に矢野康治主計局長(58)を充てる方向を固めた。辞令は7月中に発令する見通し。政府は6月18日に経済財政運営の基本指針「骨太の方針」を閣議決定しており、財政当局の体制を一新して来年度予算案の編成に臨む。

政府は主要官庁の幹部人事を固めた。財務省の太田充次官の後任に矢野康治主計局長を充てる。7月中にも発令する。

 

矢野氏は1985年旧大蔵省に入省。2012~15年に当時官房長官だった菅義偉首相の秘書官を務めた。省内でも厳格な財政再建論者として知られ、予算編成を仕切る主計局長に就任したときは、麻生財務大臣の引き上げもあり、主税局長からの異例のスライドで、財務省のサプライズ人事と言われた。というのも、予算編成を担う主計局は、財務省の中でもとりわけ大きな権限を持つ部門。財務省の事務方トップの事務次官には伝統的に主計局長がなることが多く、主計局の力の強さを示す省内の暗黙のルールとなっているからだ。その部門のトップとなる主計局長に矢野氏が抜擢されたことは、次期財務次官候補の筆頭ポジションにまで上り詰めたことになる。

実は、矢野氏と同じ1985年入省組には、主計局畑のエリート、事務次官候補筆頭と言われてきた可部哲生国税庁長官がいる。当時、可部氏は理財局長で、太田事務次官同様に「理財局長」⇒「主計局長」⇒「事務次官」というポストを歩んでいくものと、多くの財務省職員が思っていた。その予想を覆しての矢野氏のサプライズ人事。可部氏は、自民党の岸田文雄氏の義弟で、ポスト安部として岸田氏が有力視されていたときには、可部氏が事務次官候補の最右翼だったが、ポスト安部から岸田氏が脱落したことから、可部氏が事務次官レースから外れたものと推察される。

 

矢野氏が事務次官に就任すれば、戦後、初めて一橋大学出身者が就く。旧大蔵省時代を含め、財務省の事務次官は東大法卒が主流。この一点だけでもサプライズ人事と言える。

矢野氏は、一橋大経済学部卒で主税局畑。主計局に在籍したこともあるが、主計官の経験はない。ただ、財務省の主要ポストを歴任し、第2次安倍政権が発足した12年12月から約2年半、当時の官房長官だった菅首相の秘書官を務め、いまも菅首相の信頼は厚いとされる。

 

なお、矢野主計局長の後任には茶谷栄治官房長(86年同)が就き、茶谷官房長の後任には安倍晋三前首相の秘書官も務めた新川浩嗣総括審議官(87年同)が就く公算が大きく、茶谷氏、新川氏が数年内に次官に就く可能性が高い。

矢野氏が財務次官に就任すれば、学校法人森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざんが発覚した18年、官房長として同省による調査報告書の作成で中心的な役割を果たしたこともあり、矢野氏には信頼回復に向けた取り組みが問われることになる。

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著者: 宮口貴志

KaikeiZine編集委員兼論説委員

初代のKaikeiZine編集長。税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は一般社団法人租税調査研究会の役員・事務局長であり、会計事務所ウオッチャー、TAXジャーナリストとして活動。㈱ZEIKENメディアプラス代表取締役社長。
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