さて、事業所得にしろ、雑所得にしろ、総収入金額を計算し、確定申告が必要になってくるわけだが、総収入から引ける経費はそれほど多くない。そのため、何が経費で引けるのか覚えておく必要がある。
基本的に、配達業務に使用する費用が必要経費になり、概ね以下があてはまる。
- ・自転車や原付バイクの購入費用
- ・ガソリン代
- ・スマートフォン代(通信費も)
- ・保冷バッグなどの消耗品
- ・自転車や原付バイクのレンタル料
そして、必要経費の計算で注意が必要なのが、① 10万円以上の消耗品は全額必要経費に計上できないこと。たとえば、バイクや自転車が10万円以上の場合、購入費用を複数年にわたって必要経費に計上する必要がある。あくまでも購入費用が全額必要経費に計上できるのは10万円未満。ただし、事業所得として青色申告をする場合は、30万円未満の一括償却である「少額減価償却資産の特例」が使え、一つの商品につき30万円未満なら全額一度に経費で落とせる。この場合、いくつかの商品を組み合わせて30万円というのは認められない。
租税措置法第28条の2第1項に規定する少額減価償却資産の取得価額が30万円未満であるかどうかについては、「通常1単位として取引されるその単位、例えば、機械及び装置については1台または1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組または1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては、社会通念上一の効用を有すると認められる単位ごとに判定する」としている。つまり、金額の判定では、通常1単位で取引されるものと考えるのだ。例えば、応接セットとして、机20万円、椅子4脚16万円をワンセットで購入した場合、机も椅子も30万円未満であると考えるのではなく、応接セットの合計額36万円として判定する必要があるのだ。
また、特に注意が必要となるのはが、この特例を適用できるのは年間300万円以内という点だ。
経費の計算においてはもう一つ、② 事業割合を求めることも重要。事業割合はプライベートを含めた使用した全体のうち、事業用に使用した割合だけ。ガソリン代や通信費などのプライベート兼用費用のうち、事業割合に応じた金額が必要経費として落とせる。