コロナ禍において、雇用関係の助成金に関しての救済など、補助金・助成金への需要は高いものの、条件を満たさず申請が通らないケースも多く見られます。
今回は、労働トラブルの相談は過去年間200件以上、残業代請求対応実績は年間9億円を超す対応を行ってきたウィズアス社会保険労務士法人の前田敏幸代表にお話を伺いました。

目次

  1. 補助金・助成金のトレンドと傾向
  2. コロナ補助金の申請は経営者自身でできるのか
  3. 会計事務所が社労士と連携する際に気をつけることや二者のすみ分けについて
  4. 今あるまたは直近始まるおすすめの補助金・助成金
  5. 事業再構築補助金の申請において気をつけるべき点
  6. ウィズアスグループについて
  7. まとめ

1.補助金・助成金のトレンドと傾向

現在の補助金・助成金のトレンドは、大きく雇用関係の助成金と、経産省系の補助金に分かれます。今のコロナ禍での状況で事業活動の縮小を余儀なくされた場合には、やはり従業員の雇用維持を図るための「雇用調整助成金」や、在宅での仕事を支援するテレワークに関する「テレワーク助成金」の申請が主流になってきています。

補助金の場合は、みなさんご存知かと思いますが、コロナ時代の経済に対応するために中小企業等の事業を支援して日本経済の構造転換を促す「事業再構築補助金」が主流です。申請を通すには事業継続事業再構築の指針を満たしている必要があり、いかに指針に沿った形で事業計画を書けるが重要なポイントです。しかしながら、事業計画書が分かりづらかったり、補助金の指針に沿わなかったりするなどで、全体の1/3程度の申請が通らないという現状があります。

2.コロナ補助金の申請は経営者自身でできるのか

コロナ助成金の申請は昨年の4~5月あたりは手続きが大変で、専門家に頼まないと難しい状況でした。しかしその後、手続きは簡素化されてきました。そのため、しっかりと条件を読みこめば、経営者自身が申請することもできなくはない状況になってきています。ただ、社労士の立場からすると、助成金申請の際には労働関係法令周りをしっかり満たしているかが重要であり、細心の注意を払うべきだと考えます。

例えば、雇用関係の助成金は特に注意すべき点が多く、「労働関係法令」をきちんと遵守していることが条件となっています。雇用調整助成金では、法律通り勤怠を1分単位で計算して、雇用契約書や就業規則、賃金台帳などにそれぞれ整合性があるかどうかまで細かくみられます。また、現在の雇用調整助成金では一時的に認められていますが、一般的な助成金では解雇をしてしまうと6カ月間は申請ができない等の縛りもあります。

特に緊急事態宣言で、休業要請を出された飲食店様がきちんと労務管理をしているかといえば難しいケースもあるでしょう。簡単に申請できるようにはなりましたが、やはり専門家に相談する形でないと難しい部分があります。また、不正受給がニュースで話題にされているなど、取り締まりが厳しくなってきているのでより注意が必要です。