調査通知は、事前通知の一部を抜き出して事前通知の「事前」に調査内容を通知する制度だ。なんと、その登場の経緯は一部の悪質な納税者の存在によるものだった。
税務調査は忘れた頃にやってくる。
その時になって慌てる社長さんや担当税理士の様子は「税務調査あるある」だ。
しかし、平成23年に「事前通知」制度が整備されてからは、税務調査シーンのドタバタはずいぶん解消したと言われている。
事前通知とは、税務調査を行う場合に、調査対象となる納税義務者と税理士等に対し、あらかじめ電話等によりその旨を通知すること。
事前通知する項目は、
- 実地調査を行う旨
- 質問検査等を行う実地の調査を開始する日時
- 調査を行う場所
- 調査の目的
- 調査の対象となる税目
- 調査の対象となる期間
- 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
- 調査の相手方である納税義務者の氏名及び住所又は居所
- 調査を行う当該職員の氏名及び所属官署
- 調査開始日時又は調査開始場所に関する変更事項
- 通知以外の事項について非違が疑われる場合には、その事項に関し調査を行うことができる旨
調査の日程調整も可能であることから事前準備がしっかりできる。
準備段階で申告漏れなどのミスが見つかった場合、実地調査までに自主的に修正申告すれば加算税などのペナルティは課されない。
事前通知制度は、いろんな意味で好評だった。
ところが、そうこうするうちに、事前通知のこうした“効果”を悪用する動きが…。
事前通知自体が「調査による更正を予知」したことにならないのをいいことに、敢えて過少申告しておいて、事前通知が来たら調査開始までに修正申告するという悪質な手口だ。
こうした手口が横行する中、平成29年に登場したのが「調査通知」である。
調査通知とは、事前通知の前に行われる、
①実地の調査を行う旨
②調査の対象となる税目
③調査の対象となる期間
…の3項目の通知のこと。事前通知の一部を抜き出して事前通知の「事前」に、「○○について調査しますよ〜!」と宣告されるわけだ。
これにより、調査通知後に行われた修正申告にも5%(一定額超は10%)の過少申告加算税が課せられることになった。
自分で自分の首を絞める、という言い回しがあるが、「調査通知」が登場した経緯はまさにそんな感じだった。一部の悪質な納税者のおかげで、多くの善良な納税者が迷惑を被った典型的なパターンの一つである。
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