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IPOを目指して経理部門を強化する立場の方が注意するべき3つのこと

第20回は、IPOに向けて経理部門を強化する際、その役割を担う方が注意するべき3つの注意点について解説します。

第19回でも紹介しましたが、IPOを目指して、監査法人や証券会社とコンタクトを取った際、会社の経理部門のレベルを確認されます。経理部門が適切に機能していなければ、IPO準備は進められないからです。

私がCFOとして関与した会社では、最初に、財務数値の信頼性を確認するようにしていました。財務数値が信頼できないと、経営判断を誤る可能性が高くなるためです。

実際、多くの会社は経理部門に課題がありました。

今回はその経験をもとに、経理部門を強化するために、CFOや経理部長として採用された方が注意するべき点を3つ纏めましたので、紹介します。

1.既存社員に対して敬意を払いつつ、強い意思を持って改革を進める

IPOに向けて経理部門を強化する際、既存の経理部門の社員でその変化に対して面白く思わない方が一定数出ます。色々と大きく変化することが多いので、その変化の中で自身が否定されるような感覚を持ってしまう方や、今までのように自身のやりたいように仕事が出来なくなる方等、様々な理由があります。また、自身の上長や同僚に自身よりも経験豊富な方が来ることにより、自身の存在価値が薄れてしまうことに危機感を持ってしまう、等の理由もあります。

このような事から、既存の経理部門の社員が引き継ぎを放棄する、退職を仄めかす、他部署の人間に色々と良くないことを吹聴する等、改革に対して非協力的な事が発生することがあります。その時に、その経理部門の社員に気を使い過ぎると、改革は遅れてしまいますし、最悪の場合、改革が出来ない可能性があります。
既存の経理部門の社員に何故改革する必要があるのか、そして、改革後その社員の役割はどうなるのか等、その社員と向き合って、時間をかけて会話する必要があります。誠実に向き合って納得してもらえないのであれば、退職になる可能性もあることを認識しつつ、改革をやりきりましょう。

2.経理業務を見える化する

経理部門の業務は専門性が高く、ブラックボックス化しやすい部門ですので、誰が、いつ、何をやっているのか明確にしましょう。ブラックボックス化されてしまうと、既存の経理部門の社員がやりたいように出来てしまうので、不正リスクも高くなります。また、不正リスクが低かったとしても、ミスが発見されにくくなり、誤った処理が継続してしまうことにより、財務諸表の信頼性に大きな課題が残る可能性もあります。

したがって、既存の社員は嫌がる可能性が高いですが、誰が、いつ、何をやっているのかヒアリングしましょう。さらに、経理部門は大量の仕訳を計上していますので、仕訳計上の際に利用した資料やデータを突き合わせておく必要があります。地味な作業が多くなるため、決して面白い業務ではありません。しかし、このような地道な業務を経ることにより、不正やミスを防止することに繋がります。
このように経理業務を見える化する際、過去の不正やミスが明らかになることが多いので、既存の経理部門の社員は大きく抵抗する可能性がありますが、会社の為、そして、本人の為にも、中途半端にやるのではなく、やりきりましょう。

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