自宅兼事業所で仕事をする個人事業者は、仕事とプライベートにかかる費用が混在しているため、税務調査の観点からすると「叩けば埃の出る」納税者だ。中でも水道光熱費は「埃が出る」費目の代表格の一つ。自宅ビジネス歴の浅い事業者の中には、電気代、ガス代、水道代などをまったく経費計上していなかったり、逆に全額を経費に計上してしまい税務署から指摘されるなど、アバウトな経理で結果的に損している人も少なくないようだ。しかるべき経費を計上漏れしていたり、過大な経費計上で過少申告加算税などのペナルティを負ったりすることのないよう、家事関連費の基本はしっかりと押さえておきたい。

水道光熱費は「家事関連費」

自宅兼事業所で仕事をする個人事業者にとって、水道光熱費も「家事関連費」ということになる。家事関連費は事業用と個人用の両方にかかる出費のこと。個人事業者の確定申告でよく問題になるのがこの家事関連費だ。

家事関連費の税務上の取扱いについて、まずしっかり認識しておきたいのが、原則として必要経費に算入できないということ。所得税法上、家事費は必要経費には含まれず、家事関連費も生活費が混在しているということで同様の取扱いとなる。

ただし、業務の遂行上必要な部分については話は別。この「業務遂行上必要な部分」を客観的に明確に区分することができれば、家事関連費のうち業務用に使った部分は必要経費に算入できる。要は業務用とプライベート用をちゃんと区分しましょうね、ということだ。

「使用割合」で経費に算入

水道光熱費の「業務上必要な部分」を客観的に明確に区分する方法としては、水道光熱費に業務用の使用割合をかけて計算するのが合理的とされている。では業務用の使用割合とはなんぞや?ということになるが、これについては自宅兼事業所の業務用部分の使用割合の考え方を準用する方法が一般的だ。これに業務日数割合や業務時間割合(起きている時間のうちの業務時間)をかけて精度を上げていく。

例えば、戸建住宅の1階を事務所、2階を自宅として使用しているケースで(1階と2階の面積は同じとする)、1日8時間、週5日勤務とした場合、電気代の合理的な使用割合は17.8%ということになる。

電気代の業務使用割合17.8%

=床面積割合(50%)×業務日数割合(5日/7日)×業務時間割合(8時間/16時間※睡眠時間8時間は除外)

これはあくまで概算であり、業種業態によって状況は変わってくることを忘れずに。例えば飲食店や美容院などはガス代や水道代が事務所よりも多くかかってくるため、実態にあった計算方法を考える必要がある。


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