裁判所の判断

裁判所は以下の理由から、本件アパート等が「準備的又は補助的な性格の活動」を行っていた場所とはいえないとし、恒久的施設に該当すると判断した。

  1. インターネットを通じた通信販売という事業形態に鑑みれば、対面取引に比して、商品の購入者に対する商品の配送(発送)業務が事業の重要な部分を占めていることは明らかである。
  2. 通信販売においては、その性質上、配送後における契約解除(返品)の可能性が、対面取引に比して高く、顧客からの返品に対応することも重要な業務であるといえる。
  3. 従業員は、本件アパート等において、商品を保管しておき、顧客の注文を受けて、個別に商品を梱包した上で顧客に向けて発送し、また、顧客からの返品を受け取り、代替商品を発送するなどの業務を行っており、これらの業務は、通信販売である本件販売事業にとって、重要な業務である。
  4. また従業員は、商品を梱包する際、日本語取説書のある商品については日本語取説書を同梱する作業をしていた。こうした作業は商品の経済的価値を高める活動であり、単なる「保管」又は「引渡し」の範囲を超えるものである。
  5. 以上から、本件アパート等において通信販売事業にとって重要な業務が行われていたといえる。よって、本件アパート等が「準備的又は補助的な性格の活動」を行っていた場所であるということはできず、本件アパート等は恒久的施設に該当する。

コメント

「準備的又は補助的な性格の活動」に当たるか否かは、事実認定に基づき個別に判断すべき問題であるため、非常に難しいと思われます。

東京高裁は、ある場所における活動が準備的または補助的なものか否かは、「当該活動が企業の全体としての活動の本質的かつ重要な部分を形成しているかどうかという観点から検討するのが相当」としました。

したがって、ある場所における個別の活動が商品の保管や引渡しなど、一見すると準備的又は補助的な活動に見えるものであっても、そうした活動がその事業全体からみて本質的かつ重要な部分であるならば、恒久的施設に該当することになります。

今後はこの判決を参考とし、恒久的施設の有無を判断する際には、業種・業態に応じて、事業活動全体において本質的かつ重要な要素は何か、それらがある場所における活動に含まれているか否か等を、慎重に検討する必要があると思われます。


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