電子帳簿保存法の改正により、令和4年1月1日より、電子取引のデータは電子データで保存しなくてはいけなく、紙での保存は認められないと知り、「なんて乱暴な改正なんだろう」「実務上、みんなどうやって対応するんだろう」と不安いっぱいでしたが、先日(令和3年11月12日)、国税庁より補足が発表されました。
5月に「所得拡大促進と電子帳簿保存の見直し」という記事を書いたときには、電子化のメリットにしか着目していなかった私…(恥)。電子帳簿保存法改正は、大きく①電子帳簿等保存、②スキャナ保存、③電子取引、の3つの改正があり、①②は、これまでより、保存について要件が緩和されるものであるのに対し、③はこれまでより手間がかかる、大きな影響のある義務化が含まれています。
電子取引とは、たとえばメール添付されたPDFや、Amazonの購入履歴から出せる領収書、webカード明細などです。
簡単に言うと、このような電子取引で受け取ったデータは、紙に印刷して保存することができず、電子データで保存することになります。紙に印刷しての保存をもって、その電子データの「保存に代えることができる措置は『廃止』されました」となっているのです。
そしてそれらの電子データを、適当にPDF保存しておけばいい、という話ではなく、その保存要件として、次の3つのいずれかを行わなければいけません。
a 送信者または受領者のどちらかが、電子データにタイムスタンプを付与する
b 訂正削除の履歴を確認できるシステム等の利用
c 訂正削除に関する事務処理規程の制定
電子データは改ざんされる可能性があるため、それを防ぐためには仕方ないのだと思いますが、a、b、cのいずれも行わないまま電子データで保存した場合、または、紙印刷の保存しかしていなかった場合、どうなるのか…?保存してあることが認められない…?さらには青色申告の承認が取り消されてしまう!?などという話も聞いて、これはまぁ大変なことになったと思っていました。紙での保存だけでは経費として認められなくなるのであれば、顧問先様に丁寧にご説明して、a、b、cのいずれかを行ったうえ、電子データで保存していただけなくてはいけません。aやbはコストがかかるので、導入しやすいのはcかなと思います。
国税庁のHPに、規程のサンプルがwordであるので、ダウンロードして各顧問先様が使いやすいように加工してお渡ししないとなぁ~と思いながら、ほかの税理士の先生とお話する機会には「電子取引、どうしますか?」と聞いたり聞かれたり。
ところが、問い合わせが多かったのでしょうか、11月12日に国税庁HPに補足が追記されました。