「年末調整のウッカリポイント」、3回目のテーマは「扶養控除」です。誰もが知る控除だからこそ、注意しなくてはなりません。

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ちょっとしたミスにご用心!今年の年末調整「ウッカリポイント」を解説①条件と控除の額の違い、配偶者(特別)控除

ちょっとしたミスにご用心!今年の年末調整のウッカリポイントを解説②所得金額調整控除

■扶養控除

平成の半ばまで、扶養控除はそれほど難しくありませんでした。しかし令和の今、少し難しくなっています。多様な働き方や国境を超えた活動が可能になったからです。また、生活のありようも変わりました。もはや以前の常識は、通用しないのです。

年末調整を処理する側は、次の点を意識するといいでしょう。

●「扶養親族の収入はバイトだけ」とはもう言えない

年末時点で16歳以上の扶養親族であれば、扶養控除の対象となりますが、注意したいのが「扶養親族」の定義です。次のようになっています。

【引用元】No.1180 扶養控除(国税庁)

特に気を付けたいのが(3)です。「高校生だから」「大学生だから」といって収入がないとは限りません。「稼いでいてもバイト収入が103万円以下なら大丈夫でしょ」とも言い切れません。現在、収入源はバイト以外にも色々あります。

スマホ一つでネットにつながれる今、いつでもどこでも稼げるようになりました。特にコロナ禍以降は、在宅で稼ぐ人が急増しています。社会人だけでなく、高校生や大学生も、です。ゲームでも稼げます。つまり、子がバイトに行っていなくても、所得は48万円を超えているかもしれないのです。

「年収103万円以下」が、扶養控除の判断基準として使われます。これはあくまでバイト収入などの給与所得での話です。それ以外の収入形態では使えません。

ライターやデザイナー、You Tubeやアフィリエイト、メルカリでの継続的な販売であれば「事業所得」か「雑所得」に該当します。この2つは、次の式で計算した所得額が48万円以下にならないと扶養控除にできません。

「学生だから扶養から外れるほどの収入はない」とは言い切れません。踏み込む質問は気が引けますが、念のため、確認した方が良さそうです。