前回、条件と控除の金額の違いや配偶者(特別)控除の注意点をお伝えしました。今回は、創設2年目の所得金額調整控除について解説します。

▼前回の記事はこちら

ちょっとしたミスにご用心!今年の年末調整「ウッカリポイント」を解説①条件と控除の額の違い、配偶者(特別)控除

■ポイント3:所得金額調整控除で大パニック

令和2年分から新たに始まった「所得金額調整控除」。基礎控除の改正や給与所得控除の減額とともに導入されました。これがまた分かりにくくて大変なのです。

●所得金額調整控除は「控除の穴埋め」

所得金額調整控除は、一部の給与所得者やバイトをしている年金生活者に不利にならないようにするための制度です。税制改正で各種控除制度を変えた結果、年収の高いサラリーマンやバイト代を稼いでいる年金生活者は控除額が減ってしまうという事態に陥りました。控除額が減れば所得額が増え、結果として課税額が増えてしまいます。

所得額だけを見れば「稼いでいるんだからいいじゃないか」という話になりますが、育ち盛りの子どもがいたり、年金暮らしの足しにするためのバイトだったりならば、バッサリ切ることはできません。

これを鑑み、課税の公平の観点から、所得金額調整控除で彼らの控除額が変わらないようにしました。

ちなみに筆者は、次のようにイメージしています。

これは給与所得控除ではありませんし、基礎控除や扶養控除といった人的な所得控除でもありません。すごく異質な存在です。けれど、給与所得者にしか適用されません。なので「給与所得控除っぽいもの」とイメージするとわかりやすいかな、と感じております。