●注意3:特別障害者の家族がいる

本稿では、わかりやすくするために「家族」としました。実際の所得金額調整控除の条件には、そのように表記されておらず、次のようになっています。

特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する者

つまりキーワードとなるのは「特別障害者」「同一生計配偶者」「扶養親族」の3つです。特別障害者と扶養親族の条件はすでにお伝えした通りですが、同一生計配偶者とはどのようなものでしょうか。

国税庁のウェブサイトには、次のように書かれています。

【引用元】同一生計配偶者(国税庁)

先ほどの扶養親族にもありましたが、「生計を一にする」がキーワードとなっています。平たく言うと「納税者のお財布で生活している」ことを意味します。すなわち、同じ屋根の下で暮らしていても「同一生計でない」はありますし、逆に別居でも「同一生計である」は可能です。

具体的な説明は国税庁のサイトにあります。「パートなどをしていても、生活の支え手は納税者」とイメージすると分かりやすいかもしれません。

さて、この「扶養している配偶者や親族がいる」ケースでも、所得金額調整控除と他の控除を受けられます。年収850万円以上の人の年末調整の用紙を見るときは、次の点に注意するといいでしょう。

【引用元】令和3年分扶養控除等(異動)申告書(国税庁)を一部加工

なお、「16歳未満の扶養親族」欄は、扶養している特別障害者が16歳未満だと記入します。ただ、16歳未満を含め23歳未満の子がいるなら、すでにお伝えした「23歳未満の子がいる」枠で所得金額調整控除を受けられます。そのため、この項目では割愛しました。

また、配偶者控除は、本人の合計所得金額1千万円超だと受けられません。「給与年収1195万円を超えたら調整控除は〇、配偶者控除は×」と覚えておくといいでしょう。

●「国外在住」は要注意

以上がそれぞれの条件ごとの注意点です。ただ、実はもう1つ、注意があります。それは「同一生計の配偶者や親族が国外に住んでいる」ケースです。

家族が国外在住だと、送金証明や関係性の証明が必要になります。書類がなければ配偶者控除や扶養控除はおろか、所得金額調整控除も受けられません。詳細は、3回目にて解説いたします。


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