総所得金額等と合計所得金額…どう違う?確定申告で使う場面も解説
確定申告シーズンも終盤になりました。会計事務所1年目の方は、色々迷う点があったかもしれません。特に混同しやすいのが「総所得金額等」「合計所得金額」です。今回は、この2つの違いを解説します。
(2021年4月6日加筆)

■所得税で気にすべきは「収入」「所得」以外にもある
今年1月、一般の方には理解しにくい「収入」「所得」の違いについてお伝えしました。
【参考】確定申告の基本!収入・所得・手取りはどう違う?所得10種類って何のこと?
所得税では他にも大事な指標があります。「総所得金額等」「合計所得金額」です。この2つは配偶者控除や扶養控除を判定したり、医療費控除や寄付金控除の金額を計算したりするときに使います。
「一つの会社からだけ給与所得をもらっている」
「ちょっと副業もしている」
「黒字だったけど青色申告の特別控除で利益を圧縮できた」
なら、この2つの金額は同じです。しかし、
「家を売って特別控除で納税額0円になった」
「青色申告で前年の損失を繰り越して本年の利益と相殺した」
であれば、金額が異なるので注意しなくてはなりません。
■総所得金額等とは
総所得金額等は、総合課税の対象となる所得に分離課税の対象となる所得を加算した金額です。前年分から繰り越した損失があれば、繰越控除した後の所得額を用います。
具体的には、次の1から9までの総合課税の所得合計額に、10から15までの分離課税の所得合計額を足した金額となります。
【総合課税】
- 1.利子所得
- 2.配当所得
- 3.不動産所得
- 4.事業所得(営業等、農業)
- 5.給与所得
- 6.総合課税の短期譲渡所得
- 7.雑所得
- 8.総合課税の長期譲渡所得×1/2
- 9.一時所得×1/2
【分離課税】
- 10.分離課税の土地建物等の譲渡所得の金額(特別控除適用前)
- 11.分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額(※)
- 12.分離課税の株式等に係る譲渡所得等の金額(※)
- 13.分離課税の先物取引に係る雑所得等の金額
- 14.退職所得
- 15.山林所得
- (※)源泉徴収ありの特定口座で「申告不要」としたものを除く
なお、ここで繰越控除する損失は次のようなものです。
【繰越控除する損失】
- ・純損失や雑損失の繰越控除
- ・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除
- ・特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除
- ・上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
- ・特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除
- ・先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除