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年明けに独立・開業する個人向け!今から準備しておきたい節税対策3選

年明けに個人事業主として独立しようと考えている人は、今から準備をしておくと経営がスムーズです。本稿では、ぜひやっておきたい節税対策を3つご紹介します。

■年明けまでに準備しておきたい節税対策3つ

来年、独立・開業を考えている方は次のような準備をしておくとよいでしょう。

  • ●青色申告承認申請書と開業届を準備する

個人事業主として独立する際、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書(以下「開業届」)」を提出します。このとき、一緒に「所得税の青色申告承認申請書」も出しましょう。青色申告は複式簿記で事業を行っている人向けの制度です。適用を受けると、以下の点で納税額を抑えることができます。

  • ・事業所得の額から65万円・55万円・10万円のいずれかを差し引ける
  • ・発生した赤字を翌年以後3年間繰り越して、次年度以降の黒字と相殺できる
  • ・発生した赤字を前年分の黒字と相殺して還付を受けられる
  • ・30万円未満の固定資産を事業用にすると全額経費に計上できる(通常は10万円未満のみ)
  • ・家族への給料を青色専従者給与として経費に計上できる(別途届出が必要)
  • ・貸倒引当金を計上できる

なお、年初から適用を受けたいのなら、開業年の3月15日までに青色申告の承認申請書を提出しなくてはなりません。一方、開業届は開業後1か月以内に提出すべきものです。年が明けたら早めに2つとも提出しましょう。

  • ●事業用の固定資産を年明けから使う

飲食業や小売業など設備投資の必要な業種での独立を考えている人がいるかもしれません。そのような方は年明け早めの段階で事業用の固定資産を使い始めるとよいでしょう。

高額な固定資産は1回で全額を経費にできません。「機械及び装置」などの資産としていったん計上し、その後、使用した期間に応じて減価償却を行います。つまり少しずつ経費に計上するのです。このとき、使い始めの時期が年初であればあるほど減価償却費に計上できる金額は多くなります。

なお、減価償却をする固定資産は青色申告なら30万円以上、それ以外は10万円以上です。また「買ったときから減価償却」という誤解が多いのですが、「使い始めたときから減価償却」が正しい解釈になります。

  • ●開業準備のレシートを保管しておく

独立するときは、開業前から何かとお金がかかります。そのレシートは取っておきましょう。開業前の準備にかかった費用を「開業費」という形でいったん資産計上するからです。

「資産計上するなら経費にならないから意味がない」と思うかもしれません。この開業費は資産といっても繰延資産という項目です。後から償却して費用計上します。

そしてこの償却は税法上、任意です。後々黒字になったときに償却すればその分節税できます。

開業に必要な費用なら計上できますが、範囲は明確に決められていません。ただし「仕入に関する項目」「高額な固定資産など資産項目になるもの」は開業費に算入できないとされています。

■開業後のおススメ節税策3つ

この他、開業後の節税でお勧めしたいのは次の3つです。詳細はそれぞれのリンク先の記事でご確認ください。

  • ●小規模企業共済の加入

事業主なら必ず入るべき!小規模企業共済への加入による5つのメリット

  • ●iDeCoの加入

最近注目の「iDeCo(イデコ)」は節税効果スゴイって聞いたけど本当?注意点も解説

  • ●ふるさと納税

年末近いのに節税まだ…そんな人こそ「ふるさと納税」をやるべき3つの理由

■節税以外にやっておくべきこと3つ

この他、開業するなら節税以外に次のような準備をしておくとよいでしょう。どれも地味な作業ですが、開業後のお金の不安を確実に和らげます。

  • ●貯金をして創業融資を検討する

開業すると仕入や地代家賃、水道光熱費や通信費などでお金がかかります。しかし売上はなかなか立ちません。収益を得るには事業主としての信用を得なくてはならないので時間がかかるのです。

そしてビジネスの継続のキモは「損益計算書上の利益」ではなく「現金」です。現金が途絶えればあっという間に廃業せざるを得なくなります。

資金繰りで困らないよう、コツコツお金を貯めましょう。そして日本政策金融公庫などの創業融資を検討しましょう。開業前後の融資は開業して数年経ってからよりも審査が比較的通りやすくなっています。一事業主として経営を続けたいなら、手元のお金はなるべく多く持っておくべきです。

  • ●簿記3級の勉強をする

事業を継続するなら、損益計算書や貸借対照表を読むスキルや日々のお金の動きを把握する力が重要になります。こういった能力を身に着けるなら簿記3級を勉強しましょう。といっても、勉強にお金をかける必要はありません。テキストと問題集を少しずつこなすだけで十分です。「説明してもらった方がラク」なら専門学校の通学・通信を検討してもよいでしょう。

「最近はシロウトでもできる会計ソフトがあるからいらない」と思うかもしれません。実は一般の方が行った会計処理にはミスがいっぱいあります。「現金有高がマイナス」「未払・未収の処理をしていない」といった間違いは、簿記を勉強した人ならまずしません。そして、こういった会計の基礎を知らないと、自分の事業の状態を正しく把握できないのです。簿記3級を勉強して、会計の基本を身につけましょう。

  • ●会計記帳はコツコツ行う

日々の会計記帳は非常に面倒です。ですが、コツコツ処理しておけば自分の事業の状態をリアルタイムで把握できます。事業の状況を数値で確認できれば、収益・費用のバランスや資金繰りを常に意識できるのです。また、節税を行うにしても「何をどのタイミングで行うべきか」を考えられるようになります。

毎日の忙しさにとらわれると年末年始にまとめて処理しがちです。けれどお金を大事にするなら、こまめに記帳をしましょう。

なお「税金払うなんてもったいない」という意識だと、いつまで経っても資金繰りは楽になりません。「税金払ってお金を残す」という意識で事業を成長させましょう。


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著者: 鈴木まゆ子

税理士・税務ライター

中央大学法学部法律学科卒業後、ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。ZUU online、納税通信、朝日新聞『相続会議』などメディアで税務・会計・お金に関する記事を多数執筆。著書に『海外資産の税金のキホン』(税務経理協会、共著)

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