前編、消費税のしくみからインボイス制度の基本を解説しました。今回以降、この制度の注意点や起こりうる現象についてお伝えします。インボイス制度は非常に複雑です。発行側も受け取る側も混乱する可能性があります。なお、この制度に則った請求書や領収書は本来「適格請求書」と言いますが、本稿ではイメージしやすくするため、あえて「インボイス」とします。(2021年9月21日追記)

▼前編はこちら

今年10月から登録が始まる「消費税のインボイス制度」基本と注意点を解説(前編)

■売上側(発行する側)が注意すべき点5つ

インボイスを発行する側の注意点は次の通りです。

●1:公表サイトの掲載事項の変更は別の手続きが必要

仕入側が気になるのは「請求書や領収書に書かれた登録番号が正しいかどうか」です。「課税事業者になりました!」「登録しました!」だけでは本物かどうかが分かりません。

そこで、インボイスの登録番号を調べられる「適格請求書発行事業者公表サイト」が開設されることとなりました。今年の10月から運用される予定です。

【引用元】適格請求書等保存方式の概要―インボイス制度理解のために―(国税庁)

公表されるのは、次の事項です。

【引用元】適格請求書発行事業者公表サイトの運営方針(国税庁)

ただし、個人事業主については、現在の姓ではなく旧姓で事業を行っていることもあるでしょう。また、屋号や店舗の所在地を追加で公表しておきたいケースもあるかもしれません。

このようなときは、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を別途提出する必要があります。

【引用元】申請手続(国税庁)

インボイスを発行するなら最低限「課税事業者+登録事業者」になる必要があると既にお伝えしました。これに加え、「旧姓で仕事をしている」「知られているのは本社名ではなく屋号」「本店所在地と実際に営業している場所が違う」といったケースでは次の3つが必要になるわけです。

    • ・課税事業者になること(消費税を納めること)
    • ・登録事業者になること(インボイスの番号をもらうこと)
    • ・変更事項や追加事項を申し出ること(旧姓や屋号を公表サイトで検索できるようにすること)