「経営セーフティ共済に加入の個人事業主189人が解約返戻金を収益計上していなかった」___こんなニュースが11日、流れました。会計検査院が調べたところによれば、計上もれとなった返戻金は3億円を超えるとのこと。こういった「売上以外の収入をどう扱ったらいいのか」を一般の事業主が判別するのは難しいものです。今回、似たようなお金の処理について確認していきます。

■倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは何か

経営セーフティ共済は「中小企業倒産防止共済制度」と言います。これは、取引先の倒産があっても連鎖倒産に巻き込まれないようにするための保険のような制度です。

【参考】

コロナ禍の連鎖倒産を「経営セーフティ共済」で回避 決算前なら節税効果にも期待

【企画特集】アーリーステージ・中小企業のためのお金で得する経営術   第8回 利益を出している法人の節税ならまず経営セーフティ共済を検討すべき理由

取引先の倒産で売掛金を回収できなくなったときも無利子・無担保ですぐに資金を借りられます。また、40カ月以上掛金を支払ったうえで解約すると、返戻金が100%戻ってくるのです。こういった点が事業主から注目されているものの、税務上の扱いまではキチンと抑えられていませんでした。結果、冒頭のような結果につながったと見られます。

■個人事業主が倒産防止共済に加入したときの処理

個人事業主が倒産防止共済に加入すると、「掛金支払時」「解約返戻金受取時」の2つのタイミングで会計処理が必要です。いずれも事業に関連する支払いと収入だからこその会計処理です。「費用と収益はセット」と考えると、イメージしやすいかもしれません。

  • ●掛金支払時

まず掛金支払です。「倒産防止」「加入促進」といった政策的な観点から、支払った掛金は事業上の必要経費に計上してよいとされています。実務では、「保険料」「支払保険料」といった費用の勘定科目で計上します。

【例】2021年11月27日に倒産防止共済の掛金1万円が普通預金口座から引き落としになった

そして毎年1月1日から12月31日までに支払った掛金の総額が1年間の必要経費となります。

  • ●返戻金受取時

解約返戻金を受け取ったときは、全額を総収入金額に含めなくてはなりません。コロナ禍で支給された持続化給付金などと同様、「雑収入」として計上します。

【例】2021年12月25日に倒産防止共済の掛金200万円が普通預金口座に振り込まれた