第23回は、IPOを目指して内部監査室長を選任する際、注意するべき3つの注意点について解説します。IPOを目指す際、常勤監査役と同様に、内部監査室長の選任に悩まれる経営者が一定数いるため、選任時に参考にして頂ければ幸いです。

IPOを目指している企業は、監査法人や証券会社から一定時期までに内部監査室長の選任について要求を受けます。取締役や常勤監査役といった役員よりも重要性は落ちますが、内部監査室長は重要なポジションとなります。

内部監査室長を上手に機能させられず、コストを無駄にされている会社を複数社見てきました。内部監査室長で、企業のカルチャーにフィットし、経験豊富で経営・法律・会計に詳しい方が就任されるというケースは稀です。そのような状況下において、内部監査室長をどのような観点で選任するかについて、注意するべき3点をお伝えします。

1.会社内部で社長が信頼出来る人材を選任する

内部監査室長の選任を考えた際、最初に人材紹介会社に依頼する社長は多いです。過去、私が関与した会社もそうでした。内部監査室長には、監査経験が必要と考えているため、専門性が高い方や、内部監査室長を経験されている方を選任する必要があると考えてしまうからです。このような考え方に大きな誤りはありません。しかし、内部監査のスキルだけで採用してしまい失敗したケースも多数ありましたので、一旦人材紹介会社への依頼は避けましょう。

 

では、どのような方を最初に内部監査室長の候補者として考える必要があるのかというと、それは会社に入社して一定期間経過して実務が分かり、社長が信頼出来る方です。このような方は内部監査や監査の経験は無いことが多いです。しかし、会社の事業を理解している、過去から会社の実情を熟知している、管理部門のみならず事業部門にも知り合いが多いといった特徴を持っていることが多いです。

このような方は、内部監査の手法は未経験だとしても、社内外の専門家等に協力を得られれば、十分内部監査室長として機能します。このような方を内部監査室長に選任し、監査法人や証券会社から指摘を受けず、IPOまで進めることが出来た会社もありました。内部監査といったスキルや経験だけに囚われないことが重要です。