令和3年9月1日にデジタル庁が発足し、日本全体のデジタル改革が強力に進められています。税務行政においても例外ではありません。国税庁が進めるデジタル化対応はどのようなものなのか、データを活用した税務調査とは・・・。ここでは、国税庁から公表された「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション- 税務行政の将来像2.0 -」(令和3年6月)を基に、考えていきたいと思います。

近年ICT・AIがものすごいスピードで進展し、技術革新が起こっています。そして、マイナンバー制度の導入により、さまざまな情報を各行政機関が管理できるようになりました。

基本的には、住所、氏名、生年月日、性別の4情報で名寄せすることから、住所、氏名を例に挙げると、これまでは漢字や読み方が異なる、誤字がある、または変更があると、さまざまな情報と、特定の個人、法人との結びつけることが困難な場合がありました。

しかし、原則、番号が変わらないマイナンバーや法人番号を活用することにより、効率的な情報管理ができるようになりました。つまり、一納税者が一意の番号と結びつくことで名寄せがやり易くなったわけです。そして、電子化の進展とともに経済取引のグローバル化が進み、さまざまな取引がネットを通じてボーダーレスで行われ、国境を意識しなくなりました。

また、国税庁の職員の定員の減少と納税者の申告件数の増加によって、より効率的な事務運営と最適な事務量の配分が求められるとともに、経済社会が進展する中、調査・徴収の複雑・困難化が進んでいるというのが現状です。

そのような中で、国税庁では、納税者の理解と信頼を得て適正な申告・納税を確保していくため、税務行政の透明性の観点から、おおむね10年後のイメージを示した「税務行政の将来像」を明らかにしてきましたが、その後の経済社会の変化やデジタル技術の進展等を踏まえ、アップデートした「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」が令和3年に公表されました。

この中でデジタルを活用した、国税に関する手続や業務の在り方を抜本的に見直す「税務行政の将来像2.0」を掲げています。さらに、納税者の利便性の向上(スムーズ・スピーディ)と課税・徴収の効率化・高度化(インテリジェント)を二本柱に、利用者目線の徹底、万全なセキュリティの確保、業務改革(BPR)の徹底を基本的な指針として取り組んでいくこととしています。