2.自身の役割を「監査」に限定しない人材を選任する
社内に内部監査室長候補がいない場合は、社外から内部監査室長を採用することになります。その場合に注意していただきたいのが「自身の役割は監査だけ」と捉えてしまう方です。こういった方は、ベンチャー企業では成果を出せない方が多いです。何故ならば、社長のみならず、他の経営幹部、管理職、スタッフから信頼を得られないからです。
ベンチャー企業における内部監査室長は、自己監査にならないように、他部署の仕事を手伝うケースが多いです。そういった方は、他者から信頼を得られるので、成果が出ます。また、他部署の仕事を手伝う中で業務理解も進み、リスクの所在も把握出来るといったプラスの側面もあります。
社長やCFOが内部監査室長の役割を理解出来ていないと、内部監査室長から「内部監査は自己監査になるので、内部監査以外の業務は出来ないです。他社でもそうでした。」と言われ、そういったものなのか…と受け入れてしまいます。しかし、自己監査にならない範囲で、作業を手伝える領域は広いですし、そこは工夫次第でいかようにでも出来ることです。私は、実際に自己監査にならない範囲で他部署をお手伝いされていた内部監査室長を何人も見てきましたし、無事にIPO出来ました。前記の発言は、内部監査室長のマインドセットが良くないことが分かる兆候ですので、覚えておきましょう。
ベンチャー企業の内部監査室長は、内部監査するだけの役割ではその給料の価値は出せないことが多いです。しかし、そのようなことを経営者が把握出来ていない会社にこそ、このような内部監査室長が入社されるケースは一定数あります。何故ならば、楽に働けるからです。経営者として、そういった方を看過しないように注意しましょう。
また、そういった内部監査室長の発言や行動を是正することが出来るように、CFOや常勤監査役に適宜相談し、必要であれば、社外CFOを業務委託で契約し、内部監査室長をワークさせられるような体制にしましょう。
3.柔軟性と厳粛性を持っている人材を選任する
ベンチャー企業は様々な問題があります。問題は分かっているけれども、短期的に是正出来ずに放置せざるを得ない状況もあります。また、人が足りずにやらなければいけないが、やれないといった事もあります。このようなベンチャー企業の状況を理解出来ず、あるべき論、正しい内部統制の水準、他の会社の水準を押し付けてしまう内部監査室長もいます。そういった方は、大企業出身者、監査法人やコンサルティング会社出身者、金融機関出身者等に多いです。
確かにそのような方々が指摘する点は正しい内部統制の水準かもしれません。しかし、ベンチャー企業においては、その会社の状況や時間軸もあります。一般的に正しいことがその会社にとって正解であるとは限りません。会社の状況を理解して、柔軟性を持って対応出来る方を選任しましょう。
当然、柔軟性だけではIPOを乗り越えられないので、柔軟性を前提としたうえで、最低限の厳粛性は保持する必要があります。こういったバランス感覚ある方を選任するようにしましょう。
以上、IPOを目指して内部監査室長を選任する際注意すべき3つのことを解説しました。内部監査室長は、IPOを検討しなければ、普段選任を検討するようなことがないポジションです。そのため、内部監査室長を選任する必要がある場面に直面すると、良くわからないから何となく、人材紹介会社に任せてしまい、会社に不適格な内部監査室長を選任してしまう経営者もいます。
CFOや常勤監査役と比較すると、内部監査室長の重要性は落ちますが、監査法人や証券会社と関わる役割になるため一定の重要性はあります。内部監査室長だからといって、スキルや経験を重視してしまい、マインドセットが良くない方、会社の文化に合わない方を選任すると、監査を受ける現場が疲弊することや必要以上にコストがかかってしまう可能性もあります。
良い人材を選任できるように、経営者はスキルや経験のみならず、社長との相性や会社の文化との適合性も鑑みたうえで、自社に合致する人材を選任しましょう。
本記事が、IPOを目指して内部監査室長を選任する経営者の役に立てれば幸いです。
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