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【IPO・CFOを経験した会計士が伝授する成功のポイント】上場を目指す際、事前に確認するべき5つのこと

最近、「3~4年後を見据えて上場を検討しているので、早い段階から相談に乗って欲しい。」といった話を受ける機会が増えてきました。今回の記事では、今後上場を目指すにあたって、事前に確認すべきことお伝えします。

1.上場を目指す目的を明らかにする

最初に検討するべきことは、「何故上場を目指すのか、その目的は何なのか」を明確にすることです。上場を目指す理由は、経営者によって色々とあると思います。以降で簡単に述べますが、上場はメリットもありますが、デメリットもあります。
時間もかかり、費用もかかります。そして、時間や費用をかけたからといって、必ず上場出来るという保障もありません。仕事の進め方や組織も大きく変更する必要があり、昔から会社を支えてくれていた社員との別れが発生する可能性もあります。

その事を理解した上で、それでも上場を目指すのか検討した結果、必ずしも上場を目指さなくとも良いことに気づき、上場しない決定をする会社もあります。未上場の会社でも知名度や会社規模が大きい会社も存在するため、本当に上場という選択肢がベストであるか慎重に検討する必要があります。

2.上場のメリットとデメリットを理解する

上場のメリットやデメリットは、他の書籍やインターネットの記事で記載されているので、ここでは詳細な記載はせず、一般的な項目を紹介するに留めます。

①メリット

  • ・会社の社会的な信用力が向上し、取引や採用にプラスの影響がある
  • ・資金調達が容易になる
  • ・株主の利益が確保出来る
  • ・経営管理体制が整備される

 

②デメリット

  • ・上場準備のみならず、上場維持にも多額のコストがかかる
  • ・不都合な事実であったとしても適時に情報を開示することになる
  • ・多くの株主が参加することになる
  • ・買収リスクを負うことになる

3.経営計画・資本政策を見直す

上場を検討するタイミングで、経営計画を改めて見直す必要があります。経営計画には、上場に必要となる監査報酬、証券会社のコンサルフィー、役員や管理部門の採用費や人件費等の費用を織り込みます。適切に費用を積み上げると、想定以上に利益が下がることになるでしょう。

また、売上や利益がいつどの程度計上されるかによって上場時期に影響が出ます。上場時に求められる時価総額や株主数等の形式基準があるため、経営計画によっては、形式基準に達しない事もあります。その場合は、当面は上場準備に入らず、現業に注力した方が結果として良いケースもあります。

この際に注意すべき点は、経営計画と資本政策をセットで検討するということです。経営計画の中で、将来の投資についても検討していると思いますが、投資する際、その資金を自己資金で賄えない場合は、株式で調達するのか負債で調達するのか、検討する必要があります。株式で調達する際も、創業者や役員等でどの程度株を保有しておくか等、事前に検討が必要です。資本政策は一旦実行すると、戻す事は非常に困難ですので、経営計画と合わせて資本政策も慎重に検討する必要があるのです。

4.証券会社・監査法人を選定する

事業内容に大きな問題がなく、上場時に形式基準を超えられる見込みがあれば、証券会社との契約は難しくは無いはずです。ただし、証券会社は会社名や過去の上場案件の実績も大事ですが、担当者との相性や能力も重要です。会社名で選ぶのではなく、人で選ぶという考え方も持つべきでしょう。

一方、監査法人との契約は現状厳しい状況と言えます。その背景にはIPOの費用対効果を鑑みて監査法人が契約に消極的であること、公認会計士が不足している等の理由があります。監査契約を締結する前に、ショートレビューという短期調査を受ける必要があるのですが、ショートレビューを受ける事も現状では困難でしょう。
そのため、監査法人対応が出来て、経理をはじめとした管理部門のことを理解している人材が必要となります。ショートレビューを受ける事が出来る最低限の体制を準備しておきましょう。

5.現在の会社の状況を人材面から確認する

上場準備を進める上で、現在の人材で対応可能か判断する必要があります。通常、管理部門に対して費用を抑えている企業が多いのではないでしょうか。その場合、既存の社員では対応する事が出来ないため、新たに人材を採用することになります。経理・財務、採用、人事、給与・労務、法務、総務等の役割を担う人材が必要になるでしょう。なお、ベンチャー企業では一人が複数の役割を担う事が多いので、上記の役割全てにおいて人材を採用する必要はありません。経理経験者は、管理職クラスのみならず担当者レベルの採用にも苦労する会社が多いので、早い段階で採用を進めておくといいでしょう。
また、CFO、監査役といった役員の採用にも苦労することが多いです。転職市場に出回る人数も多くなく、会社もそういった方の採用に慣れていないため、失敗する可能性があります。

さらに、採用に成功したらそれで終わりではありません。当然、採用後に安定的に活躍して頂く必要があります。採用出来たのはいいけれども、数ヶ月で退職してしまうといったケースもあるのです。
一方、過去から所属する役職員と異なるバックグラウンドを持つ社員が増加していく中で、既存社員との軋轢も生まれやすいので、その点についても留意しておきましょう。

 

実際に上場準備を進めると、ここでは詳細を紹介しませんが様々な問題が出てきます。過去の決算数値の修正、法律手続きの瑕疵、労働時間の管理不備や未払残業代をはじめとした労務問題、不要な子会社の整理等、対応するべきことは難易度も高く、広範にわたるケースもあります。

しかし、問題が全く存在しない会社は無いので、管理部門に適切な投資を行い、過去の瑕疵を解消しつつ、将来に瑕疵が発生しない体制を構築する事が大事です。

今回の記事を一つの考え方として、上場を目指す際に参考にして頂ければ幸いです。

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著者: 三橋秀一

CFOサポート株式会社 代表取締役/中央大学商学部客員講師

監査法人トーマツ出身の公認会計士。リクルート等を経て、(株)LITALICOでマザーズ上場、(株)アンビスホールディングスでジャスダック上場を経験。「自身の経験から複数の企業や個人に貢献したい」という思いから、2020年1月にCFOサポート(株)を設立。中小企業やIPOを目指す企業への業務支援、CFOや財務経理でキャリアを構築する個人への支援を行っている。また中央大学商学部客員講師も努め、毎年150名超の大学生に会計士の魅力や就職に役立つ情報を伝えている。
■CFOサポート株式会社
https://cfosupport.net/

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