3.請求人の主張

本件フランス年金のうち例えば補足制度のひとつである管理職員向けの制度は、ある地位以上の者のみが加入し、受給することができるという身分差別的ともいえるものである等、日本では創設できないような制度である[2]。したがって、本件フランス年金は、厚生年金保険法等の規定による社会保険又は共済に関する制度に類するものに基づいて支給される年金又はこれに類する給付ではないから、所得税法35条3項に規定する公的年金等に該当しない。


[2] 請求人のように、わが国法人からフランスに派遣される者は、フランスの社会保障制度上、例外なく管理職員(仏:cadre)として扱われる。そうでなければフランスの労働許可が取得できないという事情がある。また、仮に非管理職員(一般労働者向け)としてフランス社会保障制度に加入していた場合であっても、同制度に基づき年金が支給されたときには、こちらもわが国公的年金等に該当することになる。

4.審判所の判断

(1)検討

外国年金については、外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で所得税法31条1号及び2号の規定による社会保険又は共済に関する制度に類するものに基づいて支給された年金である場合には、同法35条3項3号に規定する公的年金等に該当することとなる。

本件フランス年金はいずれも請求人がフランス滞在期間中に加入していたフランスの退職年金制度に基づいて支給されたものと認められるところ、請求人による年金受給申請に基づく裁定結果及び個々の受給額等からすると、本件フランス年金は、いずれも、フランスの退職年金制度のうちの一般制度又は補足制度に基づいて支給されたものと認めるのが相当である。これらの退職年金制度は、いずれも民間の被用者を対象とし、法律でその加入が義務付けられ、さらには賦課方式による財政運営を基礎とする退職年金であるという点において、所得税法31条1号に規定する厚生年金保険法の規定による社会保険又は共済に関する制度に類するものと評価することができるため、本件フランス年金は、公的年金等に該当する。

(2)請求人の主張の排斥

上記(1)のとおり、本件フランス年金は、所得税法31条1号に規定する社会保険又は共済に関する制度に類するものに基づいて支給される年金であると認められるから、請求人の主張には理由がない。